第6話 弁当から始まる友情(風谷くらげ視点)
「あのぉ……」
アタシ、
友人の空に頼まれたからである。
でも、話したことない西城さんに関わろうとするのは、まずんじゃないだろうか?
にらまれたりしたら逃げ出す自信がある。
「ひゃいっ⁉」
西城さんはアタシに話しかけられ驚いた反応をする。
にしてもさっきも思ったけど、この人全然聞いてた話と違うね⁉
氷の女王として恐れられ、その噂は別のクラスのアタシにも届いていた。
なのに今の彼女はどうだろうか?
そんな貫禄はなく、怯える子どもの様だった。
「西城彩香さんだよね! さーやって呼んでいいかな?」
だから私は考えることをやめた。
「あ、え? うん? あーごほん……あなた誰かしら?」
「いや、今更取り繕うの無理でしょ!」
なんで行けると思ったの?
「あうぅ……」
いやマジでかわいいな、正直同性の私でも心にクるものがある。
「実は空……東城君にお願いされててここに来たの」
「空に……?」
「さーやと仲良くして欲しいってお願いされたの」
「私と……?」
うるうると涙をいっぱいに貯めこちらを見上げてくる。
何というか守りたくなる、小動物のようなものを感じてしまう。
「そ、それでさっき東城に渡せなかったお弁当がどうとか言ってたけど……」
「うっ……」
さーやが食べている弁当の他にもう一個、風呂敷に包まれているものが見える。
「こ、これなんだけど……毎日作ってるんだけど毎日渡せなくて、だからいっつも一人で食べてて」
「へ、へーさーやが作ってるんだ……」
この子いつも二つ食べてるってことだよね⁉ すごいキレイな体形なんだけど……なんでこの体系を維持できてるのか知りたいレベル……
「べ、別に毎日二個食べてるわけじゃないんだよ? ほら土日は学校無いから」
「それって学校ある時毎日食べてるじゃん……」
正直羨ましすぎる……食べたら食べた分だけおなかに行くのに、さーやはその大きな胸を維持するのに使われているのか、けしからん!
試しにさーやの胸を触るとあり得ないほど弾力があり、指が跳ね返ってくる。
まーじーで、うらやまけしからん。
「あ、あのッあッ――や、やめてください!」
「あ、ごめんなさい……そこに胸があったからつい」
「山があったみたいなノリなの⁉」
しまった、話が脱線してしまった。
「最初の話に戻すけど、友達になってもらえるかな? 空にお願いされたから来たけど、アタシがさーやと仲良くしたくなっちゃった」
「うん! 私も嬉しい」
さーや頭を撫でると、目を細めながら嬉しそうにはにかむ。
浄化されそう。
ぐぅーとアタシのお腹が鳴る。
そういえば、お昼食べてなかったっけ。
「あ、良かったら弁当食べますか?」
「良いの⁉」
元々空に渡す予定だったもののはずだ。それをアタシがもらっていいんだろうか?
「良いんだよー私は空の為に作っても渡せないんだから……」
「じゃ、じゃあこれからは渡す手伝いするね! 渡せなかったらアタシが食べるから!」
「本当に⁉ ありがとー」
なんか乞食している気がするが、本人が嬉しそうならいいか……
「これで私も大きくなれるかな……」
「確かに、身長は低めよねくらげさんって」
「身長は百五十五しかないからね、まぁそっちを大きくしたいわけじゃないんだけど……」
「胸ならくらげさんもあるじゃない」
「いやまぁ、そうなんだけどね……」
「そ、そういえばなんだけど。あなたも空が好きなの?」
なんて言ったんだろうこの子。
アタシが空を好き? あり得るわけがない。
天地がひっくり返ってもない。
「空も悪くないんだけど、あいつは悪友みたいなもんだからさ、そういう目で見てないよ。だから安心して空を好きになりなよ」
「な、なんで好きってバレてるの⁉」
えぇ……誰でも気づくでしょそんなの
まぁ、確かに教室にいる時のようなオーラを出されていたら、誰も近づけないから気づかないと思う。
でも、一回内側に入った人間を突き放すようなことはしないし、意外にボロが出るので気づかない方が無理である。
「空の前でもこんな感じなの?」
「いえ、空の前では緊張して普段よりは砕けて話してますけど、ここまで打ち明けたのはくらげさんが初めてです」
「なんか嬉しいな、そう言われるのは」
「そ、それで本当に空のこと好きじゃないんだよね?」
「そうだよーアタシの理想はねー身長高めで、落ち着いてて、包容力ある感じで……」
「何と言うか理想高めね……」
「そんなことないよ? 実際にいる人だし」
中学生時代に高校入学の為に塾に居た同級生だったあの人。
同じ学校に入学してて、空と同じクラスにいることも確認した。
そんな彼の事が好きなの。
「名前はなんて言うの?」
そう、彼の名前は……
「
「……え? 火山君?」
「知ってるの?」
「私の友人で中学の頃からの知り合いだけど……」
え?
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このラブコメはバカ二人でお送りします。 ねこくま @nekokumakanran
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