このラブコメはバカ二人でお送りします。
ねこくま
第1話 関係の変化を求めて
『相手からの好感度が見えたらいいのに』
そう考えたことはないだろうか。
最近では割とゲーム用語として聞くようになった好感度。
好きなキャラにアイテムを渡して、好感度を上げることによりステータスを上げたり、特殊ボイスを聞いたりするアレである。
もし相手の好意が数値として見えたなら、学校で氷の女王と呼ばれる
*
告白という言葉を知っているだろうか。
ここで言う告白とは自己の罪を神に告げ、罪の赦ゆるしを求めること。なんかではなく、恋愛として、あなたが好きと伝える事。
多分皆知っていると思うし、したことある人間も多いだろう。
だからその一人ぼっちの辛さや、気持ちを伝える恐怖心を分かってほしい。
その上で、だ。
夕暮れの光が差し込み、あかく染め上げられる教室で西城彩香と、その幼馴染の東城空が二人きりでいた。
誰もがこんな場面を見たら告白するんだろうと思うだろう。
実際この二人はお互いに告白しようとしていた。
「学校には馴染めたか?」
「なんだろう。なんかすごく父親っぽく言ってくるのね」
「違う! 高校入ったばっかで少し心配になっただけだ」
「はぁ……同じクラスだから知っているでしょ? 学校に馴染めていたら、氷の女王なんて言われてないと思うのだけれど」
「それもそうか……」
彩香はパープルブラックと言うやつなのだろうか、一見すると黒髪なのだが、窓からさす光を反射して紫色に光る長い髪。
深紅の瞳に華奢な体だが凹凸ははっきりしていて可愛らしい容姿。
キラキラと光った髪はアメジスト、瞳はルビーとして例えて、勝手に生きる宝石だと空は思っていた。
ぶっちゃけ世界遺産として、後世に語り継がれて欲しいとまで……
容姿はとても奇麗なのだが鋭い目つき。安易に近づくと冷ややかな視線と罵倒が飛んでくるし、更に成績優秀で運動もできるという完璧超人ぷりからいつの間にか氷の女王と呼ばれる始末。
この現状じゃ決して馴染めているとは言えなかった。
「そういう空こそよく馴染めてるじゃない。クラスのおちゃらけ担当さん?」
「手厳しいな……」
逆に空はクラスの人気者と言う立場を獲得していた。
「てか、彩香はそれでいいのかよ……氷の女王なんて呼ばれてて」
「別にいいわ、いちいち告白を断ったり変な男が来ないもの」
(休み時間とかお昼とか一人で寂しいよぉ)
全くもって大丈夫じゃなかった。
中学の頃から周りに強く当たることがあったが、そのせいで人間関係は構築できずそのまま高校生になった結果。
もちろん高校入ったからと言ってコミュニケーションできるわけもなく、完全に孤立状態になってしまった。
(こんなことならもっといろんな人と話しておくんだったぁ、うわーん……私の高校生活お先真っ暗だよぉ)
問題なのは本人は現状をよく思っていなく、寂しがりやなため心の中で必死に叫び続ける事しかできていないところだ。
もちろん保育園からの付き合いの空は心の声は分からなくとも、寂しがりやで周りと仲良くしたいが上手くできてない事を嘆いているのを分かっていた。
「いろんなクラス周って、一人話の合いそうな女子いたから今度紹介するよ」
「は? 別に頼んでいないのだけれど」
(その女の子に空取られちゃうんじゃないかしら……)
「待って何で怒ってるの⁉」
「別に……怒ってないわよ」
(嘘だろそれは……)
明らかに怒っているし、何ならにらまれる空。
「ま、まぁとりあえずそういうことだから……」
「わかったわ……」
ひとしきり話し終わったが、何も考えていないと二人の脳裏には告白がよぎる。
「俺さ――」「私――」
「あ――先良いよ」
「大丈夫。空こそ先良いわよ」
お互いに話さず微妙な空気が流れる。
((告白ってどうするんだ⁉))
世の中の付き合っている男女は、この壁を乗り越えているのだと思うと敬意を表したい。
しかし、この二人が踏み越えられないのも無理はなかった。
幼馴染と言う関係がある以上、フラれたらこの関係すら破綻する可能性があった。
もちろん玉砕覚悟で告白しようとしているが、避けられるようになったら死ぬ自信が二人にはあった。
兄妹同然に接してきたと思っている二人はその存在がここで枷になる。
「と、とりあえずショッピングモール行きましょうか。買い物するんでしょ?」
「そ、そうだな」
((フラれるの怖いから相手の行動を見て判断しよう! とりあえず買い物で相手を意識させる行動して反応を見る!))
そしてお互いにひより、元々予定していた買い物に向かう事になった。
第二フェーズ移行である。
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この話は四話まででラノベの一話になりますので、もしよろしければ四話まで読んで頂けると幸いです。
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