留年を繰り返してたら母校がいつのまにか女子校に‼︎ 〜30歳留年男子学生の校内ニートライフ〜

犬ティカ

第1話 女を連れションに誘ってみた

俺の名前は中山健太。30歳で高校3年生だ。そう、30歳。しかも留年を繰り返してこの年齢だ。普通ならとっくに大学を卒業し、社会人としてバリバリ働いている年頃だろうが、俺は今でも桜ヶ丘高校に通っている。


で、俺の状況がさらに奇妙なのは、母校が「桜ヶ丘女子高等学校」に変わっちまったことだ。そう、気づいたら女子高生たちの中に一人だけ俺が残されたってわけだ。特例措置ってことで通学を許されてはいるが、なかなかに生きづらい。


そんなわけで、今日も普通に授業を受け、昼休みを迎えた。教室の隅に腰を落ち着けていた俺は、隣の席の結衣に声をかけた。


「結衣、連れション行こうぜ!」


結衣は不意を突かれたように驚いて、こちらを見た。「え、わたし女の子なんですけど、誘う相手を間違えてないですか?」


「いや、だってこの学校、俺が留年中に女子高になったから男子なんて一人もいねーもん。でも俺は同級生と連れションして、親睦を深めたいんだ」


結衣は俺の真剣な顔を見て、しばらく考え込んだ。その顔を見ると、俺の提案がそんなにおかしなものだとは思えない。俺だって、長いこと普通の高校生と同じように過ごしてきたんだ。連れションなんて、普通の親睦行事だろ?


「うーん、わかるような、わからないような……」


結衣の声は曖昧だったが、俺は構わず席を立った。「さっそくトイレ行こうぜ」


結衣は一瞬ためらったが、結局ため息をついてついてくることにした。「まあ、この学校、女子高で女子トイレしかないから、かわいそうだしトイレ行くなとは言わないですけど……」


俺たちは廊下を歩き、女子トイレの前で立ち止まった。そこには「女子トイレ」の文字が堂々と掲げられている。俺はドアの前でしばらく迷ったが、意を決して開けた。


「おい、女子トイレって小便器がないじゃねぇか! これじゃあ、連れション感が全然ねぇ……」


俺は小便器の不在に嘆いていたが、結衣は「しょーがないじゃん、ここ女子高だし……」とつぶやき、さっさと個室に入ってしまった。俺は仕方なく別の個室に向かった。


しばらくすると、結衣が水を流しながら用を足し始める音が聞こえてきた。その音を聞いた瞬間、俺はますます不満を抱いた。


「おい結衣! 流れる音で小便音がかき消されてるぞ! これじゃあ、ますます連れション感がなくなる……」


「しるかボケぇ!」


結衣の怒鳴り声が響いたが、俺はむしろその反応に満足感を覚えた。俺の理想の連れションとは少し違ったが、それでも一緒にトイレに来てくれたことは大きな一歩だ。


トイレから出ると、俺たちは無言で教室に戻った。教室に入ると、クラスメイトの河村由奈が本を片手に待っていた。彼女は俺たちが戻ってきたのを見るなり、にっこりと微笑んで声をかけた。


「あ、結衣ちゃん。連れションどうだった?」


結衣は少し疲れた顔で、ため息をつきながら答えた。「なんか……すごく疲れたわ……」

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