第7話 我慢について

 我慢というのは二種類あるでしょう。

 一つは欲しいものを我慢する我慢。

 もう一つはやりたくないことを我慢してやる我慢です。


 具体的な状況で考えると、例えば、欲しい車があるが買えないので我慢をするというのが前者で、欲しい車を買うために嫌な仕事でも我慢してやるというのが後者です。


 さて、この我慢、どちらも我慢ですが、だいぶ違いますね。

 前者の欲しいものを我慢する方は、生活全般が質素になりがちです。嫌なこともしない代わりに、欲しいものも手に入れないわけですからね。

 後者の方は反対で、どんどん忙しくなり派手になります。欲しいものを手に入れるために嫌な仕事でもするのでやることは増えます。


 これって、どっちが良いですか?


 メリットを考えると、前者の方は嫌なことをしなくていいということであり、後者の方は欲しいものが手に入るということですね。

 デメリットを考えると、前者の方は欲しいものが手に入らなくて、後者の方は嫌なことをしないといけないということです。


 これはどっちが良いかは人によって分かれるでしょうが、私のお勧めは前者の方です。つまり欲しいものを我慢する方ですね。

 なぜなら、欲しいものを手に入れたとしても、その喜びは長続きしないからです。

 新しい車を買ったからといっても、嬉しいのは初めの数か月でしょう。でもクルマは普通何年も乗ります。その間に初めの喜びなんてなくなりますよ。でも、その車のローンを払うのに、ずっと嫌な仕事を我慢してやらないといけないのです。


 もちろん車が欲しいという気持ちの強さによっても変わるでしょうが、基本的には嫌なことを我慢してやるというのは、人生の一部を捨てているように思えます。

 その時間をもっと楽しいことに使えたのに、不本意なことにに使ってしまうというのはあまりにももったいないです。


 確かに買った車で良い思いもいろいろするでしょうが、それが果たしてマイナスに釣り合うプラスなのか?

 私はそうではないように思いますね。


 周りを見渡してください。

 そんなことに、よくそんなにお金を使うなってことがよくあるでしょう。

 私からしたら、そんなことに使うために、大変な思いをして仕事をしているのって感じです。もちろんやりたい仕事をやってどんどんお金が入ってくるなら、それも良いかもしれないですけどね。


 でも、そういう立場の人ってほとんどいないでしょう。

 だいたいはストレスを抱えながら無理して仕事をしているわけです。

 これも生活のためなら仕方がないでしょう。しかし、その生活も、よくよく見直したら、必要がないものにお金を使っていないですか?


 それらにお金を使うのをやめたら、いまの収入の半分で良いってこともあると思います。それなら、いまよりももっと楽な仕事や、短い労働時間で生活ができるのです。


 私が滑稽だと思うのは、さんざんお金を使っていっぱい食べて、ジムに毎月高い料金を払ってそれを消費しているような行為です。

 これなんてまさに往復ビンタですよ。そもそもそんなに食べなきゃいいのにってことです。

 それに食べたとしても、別にジムに行かず、そこら辺を走ったしてもいいわけです。通勤で何個か前の駅で降りて、徒歩の距離を毎日五キロとかにしてもいいわけです。そしたらお金なんていりません。

 もちろんボディビルが趣味ならジム通いもいいですよ。でも、ほとんどの人はそうではないでしょう。


 それと最大の問題は欲というのは、満たそうとするとどんどん膨らむということです。

 いったんは満たされても、今度はもっと大きな欲になって戻ってきます。

 そうなると、どこまでも終わりがないのです。

 そして、初めは車を買うためって思って始めた嫌な仕事も、永久に続けることになります。そして、はっと気が付いた時には手遅れになるのです。


 とにかく欲というのは求めだしたら、とどまるところ知りません。

 早いうちに目を積んでいたほうが、幸せには近道なのです。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

生きるのが楽になりたい人へ 散々人 @sanzanjin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ