王様ゲーム

妄想 殿下

第1話

「「「王様だーーれだ。」」」


「はい!」


 突然の神託、運命の女神の指名により、王権はかつての権勢を誇った前王朝から剥ぎ取られ、

 新たに立った運命の子へともたらされることになった。


 王は、その全能を持って、この国をどこへ導こうというのか。


 王はその玉座から、大広間に揃った閣僚たちを睥睨する。

 絶対強者の視線。閣僚たちは次に下る勅命に、恐れをなし、身を固くした。


「ときに『3』番よ。」

「は。」


 髪を短く切りそろえ、筋肉質な身体をその貴族服に無理やり押し込めたような男が答えた。

 3番はその見た目通りの武門の出身、実力でその地位に収まったと言って憚らない。

 その3番でさえなお、恐れるのが王権なのだ。


「朕は、汝のことをそうは思っていないが……。」

「は?」

「謀反の兆し、ありと。」

「そのようなことは、爪の先ほども考えておりませぬ!」


 3番は強く言うと、王へと身体を向ける。

 王は意に介していないように、手をひらひらと見せた。


「朕は信じておらぬ。3は、先の戦いでも、先陣を切り、この王国の守護者たらんとしてくれた。」

「もちろんでございます。」


 頭を垂れる3番を見て5番はその侮蔑を隠そうともしなかった。

 王の腰巾着め、王国の貴族たる誇りはないのか。

 それよりも……伝統もない、神託がなければ、ただの人ではないかという思いが5の胸中を去来する。


 5の領地は、峻険な山岳地帯に囲まれ、外部との交易が難しい土地であった。

 だからこそ、農地開発を熱心に行い、作物を育て、領地を富ませてきた自負がある。

 しかし、王は、収穫に対して厳しい税を課す。

 我が領地にのみ、という不公平感が5の胸中にはあった。

 むしろ、謀反の気配があるのは、何を隠そう、この5番であったのだ。

 しかし、今目をつけられては……。


 5の野望は、まだ道半ばであった。



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