王宮での試練
王宮での滞在が始まったレイは、早速訓練場へと連れて行かれた。広い訓練場には、騎士や魔術師たちが技術を磨いており、それぞれの集中した表情が訓練場に緊張感をもたらしている。
そんな中、レイの前に立ちはだかったのは、屈強な騎士団長、エドガー。王国でも屈指の実力を誇る彼は、その鋭い眼差しでレイを見据える。
「お前が精霊使いのレイか。王に認められたとはいえ、実力を見せてもらわねばならん。」
「わかりました、全力を尽くします!」レイは緊張しながらもフィンとリヴィアに合図を送り、準備を整えた。
訓練場の中央に立ったレイを、騎士や魔術師たちが興味深げに見つめている。その視線に少し気圧されながらも、レイは心を落ち着かせ、フィンとリヴィアの力を感じ取った。
まずは、フィンが空中に浮かびながら片手を広げ、透明な水の球体を生み出した。それが徐々に大きくなり、周囲の空気が冷やされていく。フィンは静かな表情でエドガーの足元に水を広げ、地面をぬらして動きを封じようとした。
「ほう、水の精霊とはな…だが、それだけでは足りんぞ!」エドガーは冷静に足場を確認し、フィンの狙いを見破る。
次に、リヴィアが加勢する。彼女は冷たい水流を一気に放出し、エドガーの剣にまとわせて動きを鈍らせた。水が剣にまとわりつくことで重量が増し、エドガーの攻撃をわずかに鈍らせる。
「くっ…なかなかの連携だが、それでは止められん!」エドガーは剣に力を込め、フィンとリヴィアの水流を振り払おうとする。
「今だ、フィン!」レイは小声で指示を出すと、フィンがさらに強力な水の渦を作り出し、エドガーの視界を遮った。さらに、リヴィアが冷気を纏わせ、渦の中に凍結した水の破片を散りばめることで攻撃力を増幅させた。
渦の中で氷の破片が舞い、エドガーの防御を揺るがす。その瞬間、エドガーは一瞬の隙を突かれて、片膝をつく。
訓練場に集まっていた騎士や魔術師たちが息をのむ中、エドガーは立ち上がり、満足そうにうなずいた。
「見事な連携だ、精霊使い。王もお前に期待を寄せるのも頷ける。」
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