驚愕と疑念、そして決闘
村の広場に戻ってきたレイは、いつの間にか注目の的になっていた。彼の肩に浮かぶ小さな青白い光──それは、精霊フィンの姿だった。精霊との契約は、この世界では奇跡に近い出来事だったからだ。
そもそも、精霊は人々の前に姿を現すこと自体が稀だと言われている。契約のためには強力な魔力や特殊なスキルを持つことが必要で、さらに精霊に認められるための深い心の絆や理解が求められる。村の誰もが「釣りスキル」しか持たないレイがそんな偉業を成し遂げたとは到底信じられなかった。
「おい、レイの肩にいるのは…まさか精霊か?」
村人たちがざわめく中、強者たちの中でも一際目立つリーダー格の男、ガイルが険しい表情で歩み寄ってきた。
「レイ、お前が精霊と契約したっていうのか?」彼の問いには、侮蔑と不信の色がにじんでいた。「釣りスキルしか持たないお前が、どうしてそんなことができる?」
レイは一瞬戸惑ったものの、フィンが横で微笑んでいるのを感じ、勇気を出して答えた。「…俺も驚いてる。けど、フィンが俺を選んでくれたんだ。」
フィンはふわりと舞い上がり、柔らかな声で語りかけた。「そう、レイの純粋な心に惹かれて、僕は彼と契約を結ぶことにしたんだ。」
その言葉を聞いた村人たちは驚愕を隠せなかった。精霊との契約は伝説的な存在に許されたもので、数多くの村の戦士たちでさえ叶わなかった夢だ。それだけに、レイが「釣りスキル」から精霊を呼び寄せ、契約まで成し遂げたなど、到底信じがたい話だった。
ガイルは皮肉げに笑みを浮かべ、腕を組んでレイをじっと見つめた。「なるほどな。それじゃあ俺たちに、お前がどれだけの力を手に入れたか見せてもらおうじゃないか。」
レイは戸惑いながらも、隣のフィンが頷いて励ましてくれるのを見て決意を固めた。「…わかった、受けて立つよ。」
こうして、村の誇り高い戦士たちとの決闘が始まることになった。彼らはそれぞれが強力なスキルを授けられ、ガイルは炎をまとった剣【炎の剣】、他の戦士たちは防御スキル【鋼の壁】や速度強化のスキル【風の脚】を駆使してレイに迫ってきた。
「いくぞ、レイ!」ガイルが叫び、彼の炎の剣が激しい音を立てて振り下ろされる。
レイはフィンの力を借り、水のバリアを素早く展開してその攻撃を受け流した。炎と水がぶつかり合い、瞬く間に蒸気が広場を包み込む。
「まさか、本当に精霊の力を…!」
周囲の戦士たちが驚愕の声を上げる中、レイはフィンとの連携を活かし、次々に迫り来る攻撃をかわしていく。
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