バイクの男

天川裕司

バイクの男

タイトル:バイクの男


ある昼下がり。

帰り道を歩いていると、

「ん?…バイク…?」

細い道なのに、結構大きなバイクが横に幅を取り、

まるで道を塞ぐようにそこに居た。


「…迷惑な人だなぁ…」

私は道を変えてまた帰路につく。


少し行くと…

「え?また?」

今度は歩道にバイクを乗り上げる形で

そこに陣取っており、歩行者・自転車が走る道なのに

まるで我関せずのようにそこに居る。


「…何なのあの人…」

ヤダなぁと言う思いとともに、

何かデジャブのようなものを感じ、

そのバイクに乗ってる人を

必要以上に恨んでしまった。


仕方がない。

また道を変え、少し遠回りになるけど

その道を行った。


あのバイクの男はずっとフルフェイス。

顔がわからず、

でも何となくこっちを睨んでるようで嫌だった。

ちょっと怖さのようなものを感じていたのだ。


でも、

「ちょ、ちょっとまた…?!」

今度は私が住んでるアパートのすぐ前に

あの大きなバイクを停めてあの男が居る。


こんなところに居られたら、

この男の横を通るしかない。

もう回り道は利かず、

私はその男とバイクの横を通り過ぎようとした。

少し気丈な心を持って。


するとバイクの男は急にフルフェイスを取り、

「あ、あの…」と私に近寄ってきた。


「キャッ…な、なんですか…」

警戒心絶頂で身構える私。でも男は…


男「す、すみません!ごめんなさい!!」

いきなりそう謝ってきて、その場に土下座したのだ。


「え…え…??な、なにやって…」

男「ごめんなさい!!許してください!」

まだ若い男だった。


でも男がそうした瞬間、

私はその場から消え去ったのだ。


男はずっと地面を見たまま、

土下座の姿勢をやめないでいた。

少し息を切らしながら、

よく見ると、ちょっと泣いてたようだ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=gj0pfmZVhBA

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バイクの男 天川裕司 @tenkawayuji

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