第7話 配信終了、目標達成、そして
んっ?なんか急にpv数増えてますね。100pv目標でダラダラやってきましたが、なんかこの一瞬でえらく跳ねてますね。というか、やばいですね、この伸び
<初配信でpv200超えは草>
<なんなら同接50って初配信よな、これ>
<上位者からすれば少なくても初心者にとってはあまりにもでかすぎる>
<っていうか、本当に君は初配信なのかい?もっとはしゃぐようなものでは?>
本来ならはしゃぐようなことですが、普通にこの伸び方は怖いですよね。ちょっと話しながらになりますが原因究明します。
<うわぁ、すごい、社会人だ>
あぁ、なんかさっきのゲームうんぬんの話が新人配信者を発掘する掲示板に上がってますね、なかなか早いなぁこれ
<たしかに結構衝撃的な発言ではあったよな>
そうですか?結構普通では?まぁ、いいか。とりあえず目標達成しましたんでこれで終わります。
時間的にはもうそろそろ夕方ですかね。明日の夜にでもまた配信します。それでは、さよなら
pv数325
最大同接52
〜配信は終了しました〜
「ふぅ、結構疲れたな、これ。」
ノーマリー・モブこと井上は大きく伸びをした
しかし、まだまだやることは山積みである
「とりあえずさっきの配信全部見返すか。後はDMの確認に、明日の準備か、、、。結構大変じゃないのかこれ。」
元より楽な仕事など無いとはわかっていた井上だったが、このタスクの多さには面食らってしまった。
しかしながら、意外にもその胸中は不思議な充実感で溢れていた。
<名で体を表したいんですよ、私>
「へぇ、こんな感じで聞こえてるんだなこれ、ちょっとマイクの設定いじるか。ついでに音質もいじるか」
「んーっと、確か、あっ、やっぱりあの人かDMは。えっこれ時差的に返信しても大丈夫か?」
「明日はゲームって言ったし、ちょっと準備するか。設定的にいけんのか、これ」
気づくと、部屋の中は暗くなっていた。
そして、それにすら気づかないほどに集中していたことにも気づいた。
「まじかよ、真っ暗じゃん。うわぁ、今から飯つくんのめんどいな。チャリで飯でも食いに行くか。」
自らの新しい門出と産声を祝うかのように、ささやかではあったが、ご褒美を食べ、コンビニで少し高めのクラフトビールと乾き物では無いお惣菜を買い帰宅した。
「やっぱりあの定食屋美味かったなぁ。」
そう1人呟いてみるも、返答などない。
しかしそれすらも気にならないほどに井上の気分は緩やかな高揚を迎えていた。
その高揚を抱えたままビールとお惣菜をお供に明日の準備を進めつつも、エゴサーチを行っていく。
どんなアンチにも逃げないとは言ったが対処しないとも言っていないと詭弁のような理念のもと、よっぽどひどい物については友人に相談するつもりであった。
そうこうしているスマホが鳴った。
「はい、もしもし」
「おう、久しぶりだな井上」
電話の相手は元職場の元同僚であった。
この元同僚も井上と働いていた期間は1年足らずではあったが、それなりに良好な関係を続けており、お互いが職場を離れた今も連絡を取り合う仲であった。
「なかなかおもしろかったよ、お前の配信」
「そりゃどうも。こうした方が良いところとかあるか?」
「んー、今んとこは無いじゃないのか?まぁ、専門家でもない俺がわかることでもないけどな、じゃあそろそろ切るわ、明日楽しみにしてるぞ」
「あぁ、ありがとう、結城、じゃあな」
そうして電話を切り、軽い片付けをして、準備をして眠りについた。
この部屋で新たな人生を歩み始めた自分と、その自分と共に歩むことになったノーマリー・モブに祈りを捧げながら眠りについた。
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