ノーマリー・モブの産声
第1話 彼が世界に見つかるまでの第一歩
住み慣れた6畳間のワンルーム
風呂もトイレもついて家賃もそれなりに普通くらい
そして、アラームで起きる一人の男性
体型は中肉中背、顔も声も髪型もごく普通のどこにでもいる20代の男性
職業はとある企業の営業をやっていた
やっているではないのは昨日退職を済ませたからだ
学歴も普通、頭脳も普通のこの男にとっては、良くも悪くも普通じゃない職場環境や人間関係がなんともむず痒く感じたからである
一応、それなりに貯金はあったし、借金も特になく、実家も特に問題は無かったため、辞めるのにそれほどの懸念事項も後顧の憂いもなく思いの外、綺麗に退職できたことは良かったことだろう
次の就職先は決めていない、と言うよりもやることを先に決めていたため就職する必要も無かった
会社を辞めてまでやりたかったこと、それは
「さて、このコードを繋いで、よし、これで大丈夫か?」
真新しいモニターに電源が入り、見慣れたデスクトップが立ち上がる
これ自体は普段からやっていたことだが、そもそも、いつもと場所が違うため意外にも新鮮な気持ちだった
「とりあえずこれでいいか、、、何使おうかなぁ」
初めてやることだらけだが、まぁ、仕方ない
なんでも最初は初めてやることだし、要するに産まれたばかりの赤子みたいなものだ
何をやるにも調べないとわからない、教えてもらっても理解できない、理解できても行動が伴わない、しかし失敗を恐れてたら進歩はない
とにもかくにも、ありがちなミスさえしなければ大丈夫だと思っている
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶとはよく言ったものではあるが、歴史に学び経験したことは確実に自分にとっての歴史になるのではないか?
そんなことをグダグダ考えていると、気づけば準備は終わっていた
「さてと、音声チェックよし、背景よし、便意なし、始めましょうかねぇ」
退職してまで彼がやりたかったこと、それは
「どうもはじめまして、お初にお目にかかります。ノーマリー・モブと申します。初めてやるもので、不手際等が生じますが、暖かい目で見てください。また、アンチもファンも大歓迎。私は逃げませんし、隠れません。毎日配信を基本としてます。SNSも開設してますしDMも解放してますので、ご意見ご相談等ございましたら、そちらの方までご連絡の方よろしくお願いします。それでは記念すべき第1回目、ノーマリー・モブの普通の配信スタートです」
配信業である
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