第31話

 初めまして、編み物づくりをしています。編み物作りも一段落しました。何年もあっていないあの人の為に作りました。ビーズ刺繍に大成功です。最初やろうとしていた物とは大きく変わってしまいます。今は予約を待っています。あの人を待っている間に沢山のことを考えました。あんなことやこんなこと。彼の支え方を考えたりしています。デートを何処に行こうかな。仕事はどうしようかな。眺めるだけでも寄っていってくださいね。誓いをかなえるマンゴー計画やいろんな物をショップで売っているんですよ。やっぱりデート前は綺麗になりたいよね。綺麗になりたい。肌は彼が触りたくなるような肌になれたらいいな。今日は百均に行ったんですが、可愛さや便利さに引っかかっていきたいものです。今日はりんごを買ってきました。肌を触ると彼を思い出します。嬉しいなあ。デート前には試してください。デート前は一番の本物で、美しいから、全部綺麗に見えます!

 今日は靴下を買ってきたんですが、はいてみました。彼の色がついた靴下をはいていました。少しだけ彼を思い出す色を入れる。会えない時間のモチベーションアップに繋がりますよね。一度はチャレンジしたい色を選ぶことは良いことです。綺麗に着こなすことができたら彼の胸もドキドキ。今はピンクが流行っているのかな? それとも紫? 私は白が着たいです。彼に会いたいと思えば、頑張れるんです。洗顔の前に化粧水をつけると肌の調子が良いです。試してみてください。

 ここにいると、なんだか他人の思想かなにかが、流れ込んでくることがある。人の中身を見ているようで嫌だなと龍太郎は思った。

 きっとこの世界を漂う亡霊たちの怨念みたいな、残留思念のようなモノなのだろう。

 消え残る記憶。

 僕の想いもどこかに留まるのだろうか。

 いや、そこまで強い感情は持ち合わせていないから残らないかもしれない。残したいとも思わない。別にここいらに漂う亡霊たちも残したいと思って思念を残しているわけではないのだろう。残ってしまった。きっとそうなのだろう。鉛筆で書いたモノを消しても、跡が残るくらいの筆圧。隠そうとしてもにじみ出る個性。それくらいどうしようもない。想いの残り香。記憶の欠片。

 しかし、さっきの感情はきっと、恋をする人の感情だったのだろうか。

 恋をしたらこんな気持ちになるのだろうか。

 恋をしたことないけれど、恋をした気持ちになれた。

 これはこれで悪くない。

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