第27話
GCGCDGEFCCFFFEDCEC
ソドソドレソミファソソファファファミレドミド
トランペットの音色が虚空に流れていた。
何処かで聞いたことのあるような曲だ。
朝日が昇ってくるようなそんなイメージの曲。
空は一面黒かった。
曲のイメージに全く似つかわしくない空。
もしかしたらこれから朝日が昇ってくるかもしれないと期待してしまうような。
絶対にこない朝日を告げるような曲。
そこに朝日があるような。
今にもこの恐ろしいほどに満たされた闇の海が晴れ渡り青空に変わってくれるような。
奏者は誰に聴かせるでもなく自分の奏でたい、見たい景色を吹いていた。
黒で塗りつぶされた世界をあざやかな絵の具で上塗りしていくように、
黒をかき消していくように。
目をつむると、音と共に情景が浮かんでくる。
この闇の世界には存在しない、
さんさんと光る太陽と
晴れ渡る空と
青々とした緑と
きらきらと光る海
歌う小鳥や
のびのびと駆ける小動物。
飛ぶ虫たち
美しい虹や
ゆっくり流れる雲と川。
トランペットの音が闇に溶けると、
再び世界は闇しかない寂しい世界に逆戻り。
夢から覚めてしまったのか、
それともまた夢を見ているのかよくわからない世界に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます