第12話

あの影のこととかをもしかしたら知っているかもしれないから。知らなくてもいい、一人でいるのは心細そすぎた。一人でいたら、おかしくなりそうだ。

 やっと少年がいた付近まできた。

 周りを見回すと。瓦礫。あの巨大な影と昨日の彼が戦った跡なのだろうか。

 少年が被っていた帽子が落ちていた。

「これって」

 楓は帽子の前でへたり込む。

「どうしよう」

 そのときだった。巨大な影が路地から顔をだした。

 槍を両手に抱え持った。

「あ、あ、」

 巨大な影はこちらに気づいた。楓の方に真っ直ぐ走りだす。塀が何も無いかのように破壊される。

「きゃあああああああああ!」

 楓は学校の方に向かって走りだした。

 逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ。 

校門を通過し玄関に飛び込んだ。それから振り返った。

 巨大な影はまだ校門の辺りにいた。

 ひたすら廊下を駆け抜けた。

 黄色い剣を持った影が廊下の突き当たりに立っていた。

 最初に出会った影だ。

「やばい」

 通路を折れ曲がり階段を上がった。家庭科室。ここに隠れよう。

 暗い教室内。調理台の影に隠れた。

 タ、タ、タ、タ   

足音が近づいてくる。きっとあの黄色い剣を持った影の足音なのだろう。

 楓は声が漏れてこないように自分の口を両手で覆った。息をころしてやり過ごす。

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