特訓が進む中、勇者は毎日の訓練でエリシアやレオンと共に過ごす時間が増えていった。その結果、彼は自分の強さを活かしながらも、仲間との絆を深めることの大切さを感じ始めていた。

ある日、特訓の後、エリシアは勇者に対して真剣な表情で話しかけた。「勇者様、最近私たちの国に魔物が増えてきているという噂を聞きました。私たちが強くなれば、国を守る力になると思うんです。」

勇者は少し考えた後、エリシアの熱意に応えるように頷いた。「確かに、力をつけることは重要ですね。ですが、まずは基礎をしっかり固める必要があります。」

「それなら、特訓に魔物との戦闘を取り入れましょう！」エリシアは目を輝かせながら提案した。

レオンはそれを聞き、少し驚いた様子で言った。「しかし、勇者様が戦うことで、逆に危険を増やすかもしれません。」

「大丈夫です。私は勇者様と一緒に戦いますから。」エリシアは自信に満ちた笑顔を浮かべた。

勇者はその言葉を聞いて、心の中で複雑な感情を抱えながらも、エリシアの勇気に感心した。「では、実戦形式での特訓を始めましょうか。」

次の日、勇者、エリシア、レオンの三人は、近くの森へ向かった。そこには魔物が潜んでいるとの情報があり、特訓の一環として魔物との戦闘を行うことになった。

森に入ると、早速魔物の気配が感じられた。勇者はエリシアに向かって言った。「まずは、私が魔物を引き付けます。その後、エリシアは私のサポートをしてくれればいい。」

「はい、勇者様！」エリシアは力強く答えた。

魔物との遭遇が近づく中、勇者は心の中で「この状況をどうにか切り抜けなければ…」と考えていた。彼がかつて魔王として戦った経験から、すぐに状況を判断できる自信があったからだ。

数体の魔物が姿を現すと、勇者は冷静に戦闘態勢に入った。「行きます！」彼は大きく剣を振り下ろし、魔物を一撃で仕留めた。その力量にエリシアは驚き、心を躍らせる。

「すごい！勇者様、本当に強いですね！」彼女は目を輝かせながら叫んだ。

勇者は内心で「これでは、魔王だったことがばれそうだ」と思いつつ、次々と魔物を倒していった。エリシアも彼のサポートをしながら、徐々に成長を感じていた。

しかし、特訓が進む中、彼女の力を引き出すためには、魔物との接触が必要であることを理解し始めた。エリシアは勇者に言った。「私も少しずつ戦ってみたいです。少しでも勇者様の力になれるように。」

「それは…いい考えですね。」勇者は少し戸惑いながらも、彼女の成長を期待する気持ちを抱いた。

「私も一緒に戦うから、勇者様を守ります！」エリシアは強い決意を持ち、再び前に進もうとした。

その瞬間、彼女の目の前に新たな魔物が現れた。勇者はすぐに彼女の横に立ち、「後ろに下がってください！」と叫んだ。

エリシアは一瞬ためらったが、勇者の指示を素直に受け入れ、後ろに下がる。勇者は魔物に向かって剣を振るい、彼女を守るために全力を尽くした。

「私も強くなりたいのに…！」エリシアはその思いを胸に秘めつつ、勇者の姿を見守った。

こうして、彼らの特訓は続いていくが、その中で勇者の過去が明かされる日は遠く、すれ違いコメディのように彼らの関係は深まっていくのだった。

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