第17話

「……………」







ここに来てから日記を読んで前は

どんな風に暮らしていたかを

思い出すのが、唯一の楽しみだった。








「…今日はいっくんが一緒に

お酒を飲んでくれた。

とっても楽しかった。

ずっと、こんな日々が続いたらいいのに」







____日記にはそう書かれているが、

私はもういっくんの顔すら覚えていなかった。







「…私の日記、いっくんの事ばっかり(笑)」






『前の日の出来事も思い出しづらくなってきた。

このままいつか全部忘れちゃうと思うと、

怖くてたまらない』







『いっくんに好きな人ができたから

お別れしたいと伝えた。

とっても悲しそうだった。

ごめんね、いっくん

絶対、幸せになってね』








「……私が死ぬ時に燃やして貰わなきゃね(笑)」









____私はそうつぶやき日記を閉じた。

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