詩『あいの詩』

七草かなえ

あいの詩

僕がねむけまなこ こすって

朝の電車 揺られるあいだに

どれだけのひとが 殺されているのだろう

でも

この世界を諦めるのは 死んでからでいいさ


『I』は愛

『会い』も愛

『哀』こそも愛


綺麗事だからと見捨てた

性善説が

僕らを見つめている



目のいろ 髪のいろ 肌のいろ

すべて異なっていたとしても

流れる血潮のいろは皆平等に赤いんだ

そうなんだよ そうなんだよ


荘厳な大自然も

都会のビルディングも

きっときっと 同等に

美しいものなのだから


嘘つきと吐き捨てられた

性善説は

僕らに問いかけている


すべてを通して



生きられるかな

幸せだといいな

大事なのは現実を呑まれないよう

しっかり見据えること


Iは愛

会いも愛

哀こそも愛


大自然も

ビルディングも


戦場の君も

病と闘う君も

繁華街さまよう君も

もう消えたい君も

ノーベル受賞者の君も

オリンピック選手の君も

人間国宝の君も

生きてたい君も


僕がいて

君がいて

世界があって


やっと目を向けられた

性善説が

僕らを促しているよ

この時代生きるすべての命に





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

詩『あいの詩』 七草かなえ @nanakusakanae

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ