第45話 未来都市

 

 翌日、ハルが戻って来て、ゴードンの所が大変な事になってると言われ、みんなで見に行ったら、この世界にそぐわない。都市みたいな物が、あった。急に現れたらしい。

 それから、三日後。


「おはよー、あれ? トモエは?」


「おはようございます。なんか、コロシアムで、聖女の指輪が落ちたら、とって置いて貰う様に、セバスさんに、頼みに行きましたよ」


「あー、なるほど」


 !!! ……ん!?


「どうした? カズキ」


「いや、感知スキルになんか……『透視』『ズーム』な、何だあれー!?」


「どうしました? カズキさん」


「ゴードンの、いや、新しい巨大な都市の方をスキル使って見てみて」


「何だ、ありゃ、全長100メートルくらいあるぞ、あれ」


「それに、なんか、こっちに向かって来てません?」


 その、刹那、一瞬光ったと、思ったら、コロシアム、ダンジョン、俺の家、マイの家、ハルの家を全て吹き飛ばした。とんでもない、巨大なビームが飛んできた。


「ハル、マイ、無事?」


「うん。何事?」


「おい、アレ」


 そう言って、ハルが、巨大なロボを指差した。


「うん。アイツがやった」


 ほどなくして、トモエが、駆け寄ってきた。


「お兄様ー」


「トモエ、無事だったか? 良かった」


「はい。私の魔法で、コロシアムにいた人達も、みなさんも、全員守りました。でも、お兄様が、お金半分しかくれないから、お家とか、コロシアムとか守れなかったですよー」


「そか。みんな無事なら、いいんだ。それより、アイツが、トモエが言ってた危険なのか?」


「おそらく、そうです」


 セバスさんも、駆け寄ってきた。


「最上殿、あれは?」


「えーと、とりあえず、みんな王都に避難させて貰えますか?」


「はい。了解いたしました」


「お兄様、残りのお金を私に預けて下さい」


「……わかった」


 全てのお金をトモエに渡した。その時だった。久々の頭に響く声。


「これは、警告だ。我を倒しに、未来都市へ、来い!」


「どうしたんだ、カズキ、トモエ、ハルカ、マイコ」


「ああ、頭に声が、響いて」


「カズくんも? えっ、みんなも?」


「そうみたいだな、日本人には、全員聞こえたんじゃないか?」


「やっぱり、来ましたね」


「トモちゃん、どう言う事? アイツが今の声を私達に?」


「俺の頭に、ずっと響いていたのは、アイツだったのか」


「お兄様、それは、そうなんですが、正確ではありません」


「トモ、どう言う事なんだ?」


「言えません……」


「カズくん、アイツ倒しに行こーよ」


「うん。だけど、アイツを鑑定したんだ。そしたら、HPとMPしか見えなくて、カンストしてる俺の数字より、桁が、四つも多かったんだ。名前すら見えなかった」


「でも、行くしかないよ、カズ」


「うん。そうだね。あんなの王都とかにやられたら……

 」


「それに、ウチのゴードンの住む所も無くなっちゃってる」


「トモエ、俺らが、アイツを倒すって事で、良いのか?」


「それはそうなんですが……」


「何だよ、はっきりしないな、トモエ。カズキ行こう」


「いや、アイツを倒しに行くのは、俺とハルとマイだけだ」


「私達も、行きます。カズキさん」


「ごめん、グエナちゃん、待ってて」


「カズキ、私達も行くに決まってんだろ! 私達はカズキの奴隷だよ」


「そうです。カズキさん。足は引っ張りませんから、いざとなったら見捨てて貰って構いません」


「カズ、これは、グミエも、グエナも引かないよ。二人は私らが守れば良いだろ。みんなで行こう」


「……わかった。その前に、ハルとマイにコレ。それとマイ、勇者の指輪貸して」


 ハルに、ダンジョンドロップの魔王の指輪、マイにカンスト後に、手に入れた、勇者の指輪を渡した。


「カズくん、これって……ずるーい」


「うん。勇者の指輪は、重ね掛け出来るんだ」


「もう、カズくん、秘密多すぎぃー。でも、コレで、もう無敵ね」


「マイ、武器は何が良い? あと、小手と靴とティアラ、全部勇者シリーズだから」


「弓と、槍かなぁ? あと、上装備と下装備は?」


「ビキニあるだろ? 勇者シリーズは、性能そんなに変わらないよ。ビキニは、俊敏上がるし」


「えー、恥ずかしいのにー」


 イモぺとアネゴとアネッキーは、奴隷の首輪を外して、森に帰してやった。寂しそうにしていた。


「みんな、気を引き締めていこう」


 そして、トモエを、抱えて、みんなで、未来都市とやらに、向かっている途中ずっと、なぜこんな事するのか、今までの違和感などを考えていた。

 未来都市へ、到着すると、巨大なロボが、仁王立ちで待ち構えていた。その光景は、圧巻だった。何百人で作業しても数日で完成するような規模ではない街に、どこから現れたかわからない、巨大なロボ。

 そして、主人公達の頭に、響く声、


「よく来た。お前達は、激闘の末、このロボを倒せ!」


 なんだか、この言葉を聞いて、今までの事が繋がった気がした。最後まで、引っ掛かっていたのが、トモエは何をしにここに来たのか? と言う事だ。そして、何も喋らない巨大なロボ。この頭に響く声、本人では無い様なこの感じに、さらに真相に近づいた気がした。

 何も言わず、ハルが、特攻し、一撃を入れたが、びくともしない、それどころか、ハルが、吹き飛ばされた。


「ハル、大丈夫か?」


「ああ、全然、でもなんかアイツに触れた瞬間に飛ばされた」


 それからは、俺もマイもハルも全力で魔法などを撃ち込んで、鑑定したが、一割も削れず、自動回復なのか、すぐに前回してしまう。グミエとグエナちゃんは、避けるのと、防御でいっぱいの様だ。巨大なロボの攻撃、と言うか体全体どこでも吹き飛ばし効果が、有りそうで連続では殴れない。そして、交わしながらも、何度も吹き飛ばされてる俺達みんな。トモエは、グミエとグエナたゃんの回復に専念している。


「みんな、一旦引こう。これは、負けイベントもしくは……、とにかく、俺に考えがある」


「わかった」


 全員で、撤退した。少し追って来たが、すぐに引き返して行った。

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