人ノ章 黒宮家

わたしの話「ばらえてぃ番組」

 私は夕食を頬張りながらテレビの画面を見ています。


 ちょうど、その時は、いわゆるゴールデンタイムであり、バラエティ番組を放送しているチャンネルが多いです。


 今画面に写っているのは男の子。


 白いボロボロの着物をまとった男の子がこちらを見ています。彼の手足は黒く爛れ、他の部分は雪のように真っ白でした。切れた唇はスミレ色に染まっています。


 黒い画面にうっすらと写った、その子は真顔でこちらを見つめていました。


 なんだか怖くなってきたので、テレビのリモコンを取り電源ボタンを押しました。


 すると、熱湯風呂に飛び込む芸人の姿が画面に映し出され、男の子は消えました。


 あの子は、まだこちらを見ているのでしょうか?


 私の真後ろで。

 

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