ネット掲示板「みんなで考えるちょっと怖い話」
私がまだ幼稚園に通っていた頃、ちょっと不思議な友達がいました。
名前は弥生ちゃん(偽名)といって、いつも一人で絵本ばかり読んでいるおとなしい子です。
今から話すのは、弥生ちゃんから教えてもらった、お話です。
まず、私は弥生ちゃんには
美紀ちゃんは、都合の悪い事実は全部忘れちゃいます。数日前、気に入らない友達の悪口を言う為に『友達』を集めていましたが。数日後――つまり今日になると全て忘れていました。困ったものです。
美紀ちゃんが怖くなってきた弥生ちゃんは、夕方、女子トイレに向かいました。なぜかというと、私が通っていた幼稚園にはこんな噂があるからです。
――夕方、女子トイレの鏡を見ると『貴方が話したい人』とお話できる。
そんな噂がありました。
ですが弥生ちゃんには、特に『話したい人』はいません。
『話したい人』はいませんが、誰でも良いので『話してくれる人』が欲しかったのです。
弥生ちゃんも最初は、こんな話嘘だと思っていました。
でも本当に会ってしまったのです。『話し相手になってくれる誰か』に。鏡に映った子は、顔は弥生ちゃんの、お母さんとそっくりで、真っ黒な巫女さんみたいな服を着ていたそうです。
「何か悲しいことがありましたか?」
鏡の中にいる女の子は聞きました。
対して、弥生ちゃんは美紀ちゃんについて話しました。
すると鏡の中にいる女の子は答えました。
「それなら新しい『友達』を作ればいいですよ。美紀ちゃんは、そのうち幼稚園に来なくなりますから」
と、一言だけ。
それから、十分ほと弥生ちゃんは鏡の女の子と話していました。
そして、すっかり日が暮れ、オレンジ色の空が黒色に染まった頃、鏡の中から女の子は消えてしまったそうです。
翌日、弥生ちゃんは私に、この話をしてくれました。
それと同時に「もしかしたら、同じ小学校に行くという約束、守れないかもしれない……」とも言われました。理由は教えてくれません。
私は当初、この話が嘘だと思っていましたが、一ヶ月後、本当に美紀ちゃんが学校に来なくなりました。
弥生ちゃんから聞いた話は本当かもしれない。そう思った私も夕方、噂の女子トイレに行きました。鏡に映ったのは……異様に顔色の悪い私でした。
その日は、なんだか頭痛がしていたので、きっと風邪でも引いたのだろうと思って、帰ることにしましたが、帰る前、ある奇妙な点に気づきました。鏡に映る私の手のひらには絆創膏が貼られています。でも、現実世界では怪我などしていません。
怖くなった私は慌てて帰りました。
しかし、焦りすぎたせいか、うっかり家の前で転んでしまいました。しかも、その時、手のひらに傷跡ができました。夜になると更に体調が悪化して、病院に行ったところ、インフルエンザにかかっていることが分かりました。そこで初めて気づいたのです。
鏡に映っていたのは『未来の自分』だったのだと。
美紀ちゃんが幼稚園に来なくなってから、弥生ちゃんも『ふとうこう』になってしまいました。
あの日、弥生ちゃんは未来の自分から一体何を言われたのでしょうか?
*
おはなし読んでくれてありがとう。
これは、あなたと、あの子のために書いた話です。これを、読んでくれている貴方のために書いたんです。
はははははやく、一緒に、お山へ。
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