「■■■■村に伝わる童歌」


 勝って嬉しい、はないちもんめ。


 負けて悔しい、はないちもんめ。


 隣のお嬢さん、ちょっと来ておくれ。


 水鏡神みかがみのかみに見つかる。行かれない。



〈中略〉



 あの子が欲しい。


 あの子じゃ分からん。


 この子が欲しい。


 この子じゃ……。



*


 これは……県……群■■■■村に伝わる童歌の一つである。歌詞から何となくご察し頂けたと思うが、原型になっている童歌は『花一匁はないちもんめ』だ。『花一匁』を含め、童歌は大抵、地方ごとに歌詞が違うものたが、■■■■村の場合は、特に異質だ。


 これは■■■■村にて未だに残るミカガミ信仰が関係しているものだと思われる。


 一説によれば『花一匁』の『花』とは若い女性を表す隠語であり、女の子が人買いや鬼に連れて行かれる様子を表しているという。ここでいう鬼とは、神、霊、語り部、社会的に異物とされてきた人々を指す。


 

 

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