第2話
島ライフが始まった。
ただし私自身が島である。
ふははっ。
というわけで、精神も落ち着いてきたので私の今の状況を説明する。
まず、意識が戻った直後の熱いマグマのように感じられた身体は実際本物のマグマであった。
私の身体(マグマ)は海底火山から大量に噴出し、海水に冷やされつつも身体(地面)を増やし、私の今の身体(島)を形成したのである。
私の身体の大きさは比較対象が少ないため計りづらいが直径が百メートルほどの小さな円の形をしている。
そして産まれたてということで、生き物はいないし、植物もいないし、なんなら未だ身体から煙がモクモクしている状態である。
異世界の島といえば、やたらと森があって生き物がいて、美少女スタイルの精霊とか居て、更には何故か美少女ケモ耳女の子が漂流してきたりするものだというのに、私の身体はとてもつまらない。
大変嘆かわしい。
とはいえ、異世界らしいものも発見はしているのだ。
それこそが私のスキル。
多分スキルだと思うものである。
私がそれとなく意識を向けるとそのスキルの使い方が不思議と分かった。
まず島にある資源を還元する。
還元した資源は消えてなくなるが、その代わりに『島ポイント』に変換される。
そして貯めた島ポイントを使って色んなことができる、というスキルである。
では何故、先程「多分スキルだと思う」なんてことを言ったのだろうか。
その理由はただ一つ。
スキルを使えないのだ。
というのも、私は産まれたての島である。
そのため資源といえる資源は何一つとしてないのだ。
火山岩とかがあるだろう、と思った方もいるはずだが、どうやら私の身体は資源とは見なされないらしくスキルの還元が出来ないのだ。
そしてここまでで当然思ったこととして、勿論欠陥のようなスキルを渡してきた神様への怨み節はあるとして、それとは別に『このスキルだと思っているものって、ただの私の妄想じゃね?』という疑念があった。
なぜなら、自分で何となく出来ると思っているだけなのだから。
そう考えはじめると頭がおかしくなりそうで、というよりその場合ならもうすでにおかしくなっているのだろうが、とにかく私は考えるのを止めた。
そして、現在。
私は目のような、意識のような何かを空に向け、景色を楽しんでいた。
空、青い。
空、広い。
そら、高い。
お鳥さん、とんでる。
きれいだなー。
あ、なんか、おちてきた。
しろいえきたい。
…………って、おい!!?
糞を落とすな!!汚い!!
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