本能寺から始める異世界天下布武 ~転生した信長は第六天魔王になって異世界に君臨します~

朝日カヲル

第0話 プロローグ

 オルフェーゴ歴11560年5月19日


「天魔王様、敵軍の情報です。エルフ族51万、ドワーフ族220万、獣人族600万、魔族15万、それと使役されている魔獣約1100万、合計2000万の大軍です。大地を埋め尽くしております」


 ルネッサンス期の絵画から抜け出してきたような、切れ長の目をした美少年が片膝をついて報告をする。


 天魔王と呼ばれた男は、禍々しい漆黒の鎧に身を包んだまま反応を示すこと無く地平線の向こうをじっとにらんでいた。


 雲が低く垂れ込めていて、この地に世界中の狂気と魔素が集まってきているかのように空気が重たい。呼吸をするだけで、喉に粘りを感じるほどだ。


 天魔王の周りに控えていた者達も立ち上がり、地平線の彼方に視線を向ける。


「あちらには巨人族も見えます。その向こうは古龍ですか。殺し甲斐がありますね」


「全世界が敵という感じねぇ。ああ、熱くなってくるわぁ」


 それぞれ特徴的で美しい鎧をまとった男女が、口々に感想をつぶやく。


 そして天魔王はそこにいる全員に告げた。


「くくくっ、まさに、人族の存亡を賭けた最後の戦いだな。蘭、坊丸、力丸、ガラシャ、エーリカ、ローゼ、行くぞっ!」


 天魔王とガラシャの二人が崖の際に進み出る。その向こうには、見渡す限りの大地を埋め尽くした敵の姿があった。


 天魔王とガラシャは持っていた剣を天に掲げ、呪文の詠唱を始める。大気の魔素が集まってきて、可視化できるほどの密度に達した。その濃密な魔素は竜巻となって低く垂れ込めた雲を巻き込んでいく。


「最大最強の攻撃魔法だ!喰らえ!オーフヘーレ!」

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