第30話 「魔族の食卓」
私はテレポートで調理場の扉の前へ移動する。
レイアが休んでいる間、私は魔界と魔族の料理と
調理場の扉をノックして誰かが出てくるのを待つ。少しして、扉が開き、170センチほどの銀色の髪のエルフに似た若い男が出てくる。
「何かご用でしょうか?」
「魔王の夫のタクトです。実は、食料について聞きたくて来ました。料理長にお話しできますか?」
「魔王様の! そうですか、少しお待ちください」
エルフの男は中に戻っていき、料理長にかけ合ってくれるようだ。
しばらくして、扉が開くと、中からコック帽を
「お前さんか、魔王様の
「はい。タクトと申します」
「料理長のドミエルだ。こんなところで何だから、入りな」
「ありがとうございます」
私は中に通してもらう。調理場はとても広く、約三十名ほどのスタッフが働いている。
エルフ族、ドワーフ、ノーム、ホブゴブリン、サキュバス、オーク、オーガと、ざっと見渡しただけでも多種存在しているようだ。
テーブルには様々な食材、調理器具が並び、火や水は魔法で
「ようこそ我らが調理場へ。で、タクト様は何がお望みで?」
ドミエルが笑顔を見せながら
「リオリス国との戦争に向けて、魔族の食料について学びたいんです。食材、調味料、料理、どういうものが好まれるか、戦争時に兵士が何を食べているのかなど、色々教えてほしい」
私は頭に思い
「なるほどねぇ。いい心がけじゃないか。一つ言っておくと、魔族には人間の肉を好む奴もおるぞよ」
いきなり衝撃的な事を言われ、私はギョッと反応してしまう。まあ魔族だしあり得る話だ。
「おお、すまんすまん。うちでは使ってないから安心してくれ。魔王様が嫌いな食材なんでな。
ドミエルが下品な笑いをしたので、少し
「で、何から教えればいい?」
「そうだなあ、やはり食材からかな。見せてもらっていいですか?」
「いいだろう。付いてきな」
ドミエルは私を
「自由に見てもらってもいいぞ」
「ありがとう」
私は肉を見る事にする。牛や豚らしい肉はすぐにわかった。ただ、わからないものも結構ある。
「この辺りの肉は何のものですか?」
私の問いにドミエルは目を
「人間にはなじみのない肉かのう。
人間に比べて、魔族は色々な種類の肉を食べているという事か。レイアが最初に
しかし、並んでいる肉の中には
「肉は塩漬けしたり
私の問いにドミエルは少し驚いた表情をした後、答えてくれる。
「しねえなあ。魔王様にはできるだけ新鮮な肉をお出ししているし、ほかの魔族や魔物達は
なるほど。これはレイアに相談して保存方法を
私はそれから魚の方も見せてもらう。大小色々な魚がいるが、私は魚の事をあまり知らないので、適当に見て回る。こちらは肉とは違い、冷凍保存されている。
「魚は冷凍されてますね」
「ああ。こっちに来るまで時間がかかるんでな。魚は
他にはエビ、カニ、イカ、タコ、貝類、
ここまで見て、魔族は人間以上にバランス良く
あとは野菜の場所で、ドミエルが案内してくれるようだ。次にどんなものが出てくるのだろうと
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