FINAL PIECE

@shuda

001家庭

小学生になる頃

両親の声を聞いた記憶

父の愚痴を言う母

……父の声はほとんど記憶に無い


そう

両親は不仲だった

ほとんど帰宅しない父

心が折れて家事をしない母


僕にとって「家庭」は

決して安心出来るものでも

楽しいものでも

まして頼れるものではなかった


高校生になる頃には

母から「家庭」のことを聞かされた

キャバ嬢にガチ恋して貢ぎ込んでいた父

気付いていながら何も言わない母


話は母からしか聞いていない

だから

父はどんな想いで帰宅しなかったのか

どんな想いでキャバ嬢に貢いでいたのか

それはわからない


母はどんな想いで何も言わなかったのか

どんな想いで家事を放置したのか


ただ……

いまさら僕にとって

そんなことはどうでも良かった


1つだけ

この時に決めたことがある

将来「家庭」を作るなら

「暖かい家庭」を作ろう


社会人ですらない高校生の僕は

まだ何も社会のことを知らず

ただ漠然と

そう心に決めた

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