第37話
「全員、動くな。」
突如、帷さんのドス黒い声が部屋中に響く――――。
大きな声でもないのに、キーンと耳鳴りがした。
この地鳴りのような振動は、床が揺れているわけではない。自分の身体に直接伝わる、音の振動のようだ。
「一人でも動いてみろ。内臓に手ぇつっこんで毛細血管一本ずつゆっくりとぶち切って
最高幹部と言われている彼らが、帷さんの言葉に
ッ!
部屋の電気が消え、真っ暗になる。
「っ!あのッッ!」
こわい…!
私は、真っ暗が嫌いだ――――。
手探りも出来ず、真っ暗な倉庫の中で縛られたままの状態で置き去りにされた経験がある。
ゲームの中で。
次の日、倉庫の鍵が開く音が聞こえて、外に出た時に見た光景は今でも忘れない。
自分が真っ暗な中で怯えている間にも、
いつの間にか学園の人たちは、殺されていて――――。
『大丈夫織羽っ?!彼らが、突然殺し合いを始めて…!』
私のせいで…
私のせいだ…
『違う!!織羽は悪くない!悪いのはこの世界のせいだ!!』
そう言ってそっと抱きしめてくれた彼。
でも、その彼も、暗闇の中で死んでいて――――
――――――――……
『大丈夫だよ。俺がいるよ?』
「っ?!とばり、さん??」
『大丈夫。俺だけ見てればいいからね。』
どこか懐かしい。
私をなだめようと、落ち着かせようとする、甘くてやわらかい声。
ふわ、と自分の足下に生ぬるい吐息がかかる。
真っ暗になった部屋の中で、帷さんが私の脚を、徐々に徐々に、下から指でなぞっていく。
「あっ」
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