第20話

道路のような道から細い道を抜け、そこからまた街頭のある道に出れば、そこにはところどころに、寂れた民家と空き地が広がっていた。



 着いたのは大きな工場で、でも見るからに錆びれた様子で稼働しているとは思えない。



「さて、まず君、名前は?」


「…山元やまもと織羽おるはです。」



 今頃になって名前を伝えると、竜彦さんが眉間にしわを寄せた。



「………偽名?」


「いえ、偽名なんかでは、」


「じゃあどこの学校?」

 

「…至極、」


至極しごく学園とか言ったらぶっ飛ばすよ?」


「……え?」



 さっきは「こんなセーラー服の襟は見たことない」と言っていたのに。



 もしかして私の学校を知ってる?



 益々分からなくなってきた。もしかしてここは異世界でも何でもなく、同じゲームの世界??



 それから竜彦さんはめんどくさそうにため息をついて、さっさと工場の中へと入って行ってしまった。



「…なあ、あんた、」



 竜馬さんが私を怪訝な目で見下ろす。

 


「ふざけてるなら痛い目見るぞ?今からあんたの審査が始まるってのに。」 

 

「し、しんさ…?」


「"非女"として相応しいかどうかのテストみたいなもんだよ。」


「"ひめ"?」


「顔だけ良くても中身残念じゃ誰も興奮しねーからな。」



 興奮って、どういう意味の興奮なのか。



 ただ罰を受けるために来ただけなのに、そんなに大がかりなものなのだろうか?



 かといって今さら引き返すことも出来ず、私は重い足取りで彼らについて行った。

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