第19話
その場から私はあっという間に連れ出された。
聞けば彼らは、竜彦さんと竜馬さんという双子の兄弟だそう。
一見温和そうでも実は気性の激しい竜彦さん、その逆で"俺"が一人称の竜馬さん。
モニカさんは最後の最後まで唇を震わせたまま、私の言葉「夜中ですけれど一人で帰れますか?」にも返すことなく、そのまま道路にへたりこんだままだった。
私がモニカさんを心配している間にも、なぜか菊地さん、竜彦さん、竜馬さんの3人はジャンケンをしていて、
「アーーッアア"ーア"ー」
「るせーよ、くやしかったらその翼でチョキ以外出してみろ菊地。」
「じゃあここは僕の勝ちってことで。」
「お前今"後出し"したろ?俺の動体視力舐めんな。」
「小学生じゃないんだし、負け犬の遠吠えはみっともないよ竜馬。」
どうやら勝ったのは竜彦さん。一体何のジャンケンなのか。
バイクに跨がった竜彦さんが、私に"こいこい"と指で指図する。
「僕の後ろに乗って。よかったね菊地の後ろじゃなくて。」
「…え?」
「あいつの後ろに乗ると羽が風で飛ばされて口の中入ってわさわさするから。」
「そ、そうなんですね。」
竜彦さんの後ろに乗せられながらも、後ろからついて来る何十台ものバイクからざわめきが消えることはなかった。
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