第16話
「モニカさん、どちらにせよ私には帰る家もありませんし、待つ人もいません。」
「……え?」
「だから、私が身代わりに彼らの元へと行きますので、どうか安心してください。」
「…あんた、何言ってるの…。」
モニカさんの手はずっと震えたまま。
もう一度強く握ってから笑顔を見せ、離すと、私は立ち上がって彼ら2人を見据えた。
「今言った通り、私には帰る家がありません。もし置いて下さるというのなら、彼女の代わりにどんな罰も受けます。」
向こうの方では、菊地さんを筆頭にバイクに跨ったままの彼らが騒がしくなり始めて。
目の前の彼ら2人は何やら小声で相談を始めて、
ちら、と何度も私を見ては眉間にしわを寄せていた。
「…竜彦、これって、異例の事態?」
「そうかもね、竜馬。」
「で、どうする?帷に報告?」
「…の前に、顔を確認しとこう。」
「モニカ以上の不細工なら代わりになれない」と、ビンタを繰り出した彼が、私と同じ目線にしゃがみ、私のだらしなく垂れ下がった髪の毛を掻き分ける。
ぐしゃぐしゃになった髪の毛は湿っぽく、ずっと視界がストライプになっていると思っていたら自分の髪の毛が前を遮っていたらしい。
私のクリアになった視界で見たのは、暗闇なんかではなく、月夜の綺麗な夜空と
切れ長の碧い瞳孔を開かせた、彼の驚いた表情だった――――
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