あらすじ

第1話

親に本を読め読めとうるさく言われ続けてきた瀬里せりは、その期待に応えることはなく、本の整理が好きになった。


大学図書館で働く倉田瀬里は、活字嫌いなため、仕事中に本を読むことはなく、司書として仕事をテキパキこなすあまり、難解な中国古書の整理を任されていた。


地下書庫の隅にあった埃っぽい中国書を開くと、中から勾玉が表れ、勾玉の放つ光に吸い込まれてしまう。


気付けば、そこは宮廷内の書庫。本がところ狭しとそこらじゅうに積まれている。


そして目の前には美少年と眼鏡のイケメンが立っており、美少年も瀬里と同じ勾玉を持っていた。


瀬里は美少年に"派遣"された勇者であることが判明する。


美少年の名前は智彗ちすい。そして眼鏡のイケメンは弟の瑞凪みずな。智彗は自分の身体を担保に、この幌天安の財政難を打開すべく瀬里を派遣した派遣主。


召還ではない、派遣だ。


主の心に伴い、それぞれ透明な勾玉に色づいていき、全て色づくと派遣契約が終了し、瀬里は元の世界に帰れることになる。派遣の満了だ。


若くしてその座についた智彗は幌天安こうてんあんの皇帝だった。宮廷の老朽化、騎士や従者の高齢化、従者の大量リストラに危機を感じた王都の民は幌天安を離れてしまったのだ。


そもそもの原因は、平和主義者である智彗の性格にあった。あらゆる国の交渉に応じてきたが、戦に関する手助けは一切したくなかったため、相手に足元ばかりをみられ、不利な交渉ばかりを受けてきた結果、幌天安は財政難に陥った。



瀬里はとりあえずこの宮廷にある大量の本を整理して、図書館、つまり"知の聖地"を作ることを提案する。(自分が整理したいから)


本の知識で他国を見返し、復讐しようと言う瀬里に智彗と瑞凪は怪訝な顔をする。


幼い頃から書物が大好きな智彗と瑞凪は、この宮廷内にある書物は全て熟読済で知識だけはあった。しかし書物ばかりにふけってきた2人はコミュ力にいまいち欠けていたのだ。


瀬里のコミュ力と智彗らの知識で、この財政難を乗り切り、他国を見返そうと様々な問題を解決していく。



農村の謎の病気や、料理人たちの新たな試み、針子たちによる斬新な衣装作りなど、書物を頼りに解決していく。


しかし景郷国けいごうこくが敵国と交戦中、景郷国から友好の話を持ち掛けられる。智彗は自国がその敵国に狙われる可能性があるため、断ろうとするが、瀬里はその交渉を受けてしまう。


智彗は瀬里の意欲的な考えに理解出来なくなり、部屋に閉じこもってしまうのだったが····。

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