第10話
私が桐生君と一緒に、模擬面接用のパーテーションへ入ろうとした時だった。
「梨添さん、」
「え?」
いつの間にここまで距離を詰めたのか、私の真後ろにいたのは不死原君だった。
「俺も金融関係受けようと思ってるんです。」
「はあ。」
「桐生と一緒に模擬面接してもらってもいいですか?」
「……ええと、何で桐生君が金融志望だって知ってるの?」
「桐生とは一応同じゼミなので。」
桐生君が、「それを言うなら一応友達だろ?!」と肘で不死原君をせっついている。
不死原君が金融志望だなんて初めて聞いたし。
というかこの前は不動産志望とか言って私に宅建のこと聞きにきたし、その前は公務員志望じゃなかったっけ??
自分の就職先はそんな適当じゃダメでしょ。
なんて、私が説教をする資格もないんだけど。
こういうのが私を惑わす原因なのだ。私に構いたいがために、今だってわざと適当に志望先を変えてるんじゃないかって。
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