第10話

「……ねえ寺道くん、私だって尚美ちゃんに嫉妬してるよ?正直尚美ちゃんをえいって突き飛ばしたいくらいに。」



萌え袖を顔の前に持ってきて、まつ毛を瞬かせてみる。レッドカーペット賞から主演女優賞に昇格させてやる。



「な。は。はあ?」


「尚美ちゃん、長いこと鹿助君に付き纏っててね。鹿助君がどうしようってずっと困ってたんだよ?」


「っ、」


「でも鹿助君優しいから、尚美ちゃんを無理に突き放せなくって。だから今日、私から寺道くんに、尚美ちゃんをどうにかして下さいってお話しようかなって。」     

  

「う、うそだろっ……」


「ねえ寺道くん、お願いします。百奈の鹿助君を盗らないでって、尚美ちゃんに伝えといてくれるかなあ?」



どうっすか監督。2クール目の続編も期待していいよ?



盾狼君を見上げようとしたところで、盾狼君の大きな手で頭をバシバシと叩かれた。なぜ。



「寺道くん。尚美にズボン下ろされて咥えられちゃったこと、ちゃんと謝罪するよ。」


「なぁッ」


「でも挿れてはないから。ほんとごめんね?」



盾狼君が、困ったようなあどけない笑顔を作り、寺道くんに言った。



爽やかな朝の空気の中、スズメの鳴き声が聞こえた。

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