闘戦学園の双刀炎神《デュアルブレイム》

ゆりゅ

プロローグ

 ──人を殺したことはあるか?


 昨日見た映画では、殺人なんて当たり前。

 主人公は殺人という罪を犯したが、仲間と共に窮地を乗り越え、自分がしてきた事の過ちを反省し罪を償う。

 

 だからまず仲間が欲しい! だなんて思っちゃイケナイ。そもそも人と関わっていはイケナイ。


 だって現実でそれは受け入れられない存在だから。こんな能力者や特異体質が溢れた世界でも、俺は。


 だからなんとしてでも俺、世良せら龍人りゅうとは──普通に平凡な人生を送りたい。


 ──学園島、「アリフロス」へようこそ!


 七年前、俺にこんな言葉を放ってきた人物がいた。


 海に浮かぶような人工島。人口100万人、南北15km、東西20km、学生は約六割五分。そこは──学園島「アリフロス」


 ここは、俺らを育成する総合教育機関。


 新人類Epic HUMANとは、数十年前から存在する不可解な存在。を持つ人類のこと。


 別称「素晴らしい人間」。


 凶悪化する犯罪への異常な不安。

 生きていく上で過酷な環境。

 おかしくなるほど過度なストレス。


 そんな負の結果が、人類に変化をもたらした。突如、日本に現れた新人類は旧人類の何倍も強く差は歴然。不気味がられ、新人類の居場所は何処にも無かった。

 

 七年前、この学園島「アリフロス」へ来る前の事だ。

 当時俺が九歳の頃、有名な無差別殺人犯が世間を騒がしていた。

 

 その殺人犯は複数人で行動していて、全員が元プロボクサーだったり、軍人出身だったりと強かった。奴等は、俺達みたいな弱い人間を狙うクズども。


 奴等の魔の手は俺達の所まで来て、抵抗虚しく、母が目の前で惨殺された。

 子供ながらにして、大人に逆らえない恐怖を味わった。そして、自分の無力さも。


 呪ったさ──自分を、奴等を。

 「おかしくなるほど過度なストレス」が俺を襲った。

 

 もう狂うしかなかった……そしてしまった。最強最悪のに。

 奴等は三人の大人、対して俺は一人の子供。普通なら勝てるわけがない。

 

 でも、分かったんだ──殺せるって。

 

 憎しみと憎悪が、俺をへ変えた。そこからはあまり覚えていないけど、殺戮ショーだったと思う……

 

 当時、奴等以上に注目を浴びていた──新人類Epic HUMANの存在と学園島「アリフロス」……俺はその仲間入りをしてしまった。

 

 まあ俺を例に色々話したが要するに、新人類とは、超能力者や特異体質を持つ人間の事で、旧人類とは別格に強い。だから、差別が酷く……増え続けた。


 恐怖の対象と成り、妬まれ、石を投げ続けられた。それ故に、負の感情が繰り返し起こり、また起こり……気づけば新人類の数はもう数万。


 総理はこの状況は打破すべく、共存の道を選んだ。


 彼が新たに作った憲法と政策は、当時とてつもない程の非難を浴びていた。


 新人類との共存の為、教育を施し、共に暮らそうと──


 だが今、少なくとも彼の努力は報われたらしい。


 街を歩いていると、色んな異世界が広がっている。


 今日は日曜日。暇なので外に出てみた。いわゆる街ブラというやつだ。


 街へ行く前、バスやら電車やら色々あるが、俺は近未来型鉄道「ハイパーフロス」を使用する。

 

 理論上時速1000kmで走行出来て、この学園島にはあまりに勿体ないくらいの技術がてんこ盛り。


 他にも、目覚め、着替え、朝食等忙しい朝支度をお節介ロボットが手伝っている。なんて場面も。


 あらゆる機器には最新テクノロジーが使用され、強力な通信技術だったり、AIやコンピューターの6Gの実用化などなど。


 まぁもうとにかく、別次元のもはや異世界と言える世界観だ。


 この島は、新人類を育成する学び舎。新人類に合わせた創りになっている。


 途中で見かけた屋台から唐揚げ棒を購入して、近くの公園のベンチに座ることにした。


 この公園は約東京ドーム一個分の大きさで、子供達は自由に能力を試しに来れる。


 ほら、あの子供なんて風域を作って飛んでる。隣にいる子供なんかは、威力は小さいが火炎放射を出してる。


 火炎放射……火炎放射!?


 ちょ! 風域の前に火炎放射なんて出したら、炎と風で拡散反応を起こすに決まってるって!


 案の定、炎の竜巻、「火災旋風」が発生。カッコよく言えば、「ファイヤートルネード」に、子供達は巻き込まれた……が、なんと驚くことに、無傷だったんだ。


 それどころか、楽しそうに笑ってるし。アトラクションみたいに思ってるのだろうか。


 まぁこの島の住人は、耐久力も異常だからな……


 学園島「アリフロス」はおかしい。でも、意外にまとまっている。皆が協力して楽しく生活出来ている。


 総理があの政策を打ち出さなければ、きっと世界は混乱と共に世紀末を迎えていただろう。


 そんなことを考えながら、街ブラも終えたので家へ帰宅した。

 

 明日は授業だ。早めに寝よう。


 

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