エリィートなハルバード使いが美麗で華麗にすんばらしく活躍するこの上なく特別な物語
負け犬アベンジャー
プロローグ
斧槍無双
「……チビ、これはただの斧ではないのだ。これはハルバードと言うのだ」
「……え?」
「ハルバードだ。ハルバード」
「はる、ばーど?」
「そうだ。槍の長さに斧の重さ、そこに刀剣や他の武器の長所を詰め込んだ、武器の完成形、究極の個人兵装、それがこのハルバードなのだ」
「それは、すごいっすね」
「すごいのだ。そのハルバードの中でもこれは更にすごい。よし、今日は特別に少しレクチャーしてやろう」
「とく、べつ」
「見ての通りこのハルバード、最大の特徴はこの複雑な先端にある。まっすぐ伸びた槍の穂先、その横に伸びる斧の刃、その反対側には地味だが突起、これはハンマーの役割があるのだ」
「はん、まー」
「これで三つ、突く、斬る、叩くができる。だが実際にはそれ以外にも引っ掛ける、押しのける、払いのける、使い方は使い手次第、いくらでも応用が利くのだ」
「つよそうっす」
「強いのだ。そして見よ、この美しさ。柄も含めて黒鉄製の金属の塊、ただそれだけならば武骨になりがちな所を、斧の刃の両面に銀色の埋め込み、薔薇のレリーフはめ込むことで、一気に美麗で繊細なデザインと昇華している。実用性を兼ね備えながら磨き上げられた芸術なのだ」
「ぴかぴかっす」
「あぁ輝いている。だからこそ使うのが難しいのだ。全部が重量ある金属、しかも重心に癖があってただ振るうだけでも高い筋力に技量が求められる。それを応用を効かせながら、その美しさを損なわず、むしろより引き出せるように、完全に使いこなせる、そんな高等な戦闘能力を持つこの俺は、何者だと思う?」
「……なんすか?」
「エリィートだ」
「えりーと?」
「違う。エリィートだ! 脈々と積み重ねられてきた伝統と最新技術による合理! そして不屈の魂を重ね合わせた最高級トレーニングメニューを貪る鍛錬による鍛錬! 心! 技! 体! 全てを極限にまで鍛え! 高め極めた史上最上位の戦士! 選ばれし民! 世界の至宝! 絶! 対! 強! 者! それがこの俺! 即ちエリィートなのだ!」
「えりーと」
「違う! 舌を巻くのだ!」
「えりぃーと」
「そうだ! もっと大きな声で!」
「えりぃーと!」
「そうなのだ! エリィートなのだ!」
「えりぃーと!」
「エリィート!」
「えりぃーと!」
「エリィート!」
「えりぃーと!」
「エリィイイイイイイトォオオオオオオ!!!」
「えりぃーとーおー!」
ズキリ。
「あへええええええええ!!!」
「うえぇ!」
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