第36話
お風呂に入り、着替える。
髪は男が乾かしてくれた。
そのまま男も自分の髪を乾かした。
私は疲れが抜けなくてぼーっとしたままされるがままになる。
終始無言だった。
男は、茶髪ボブのウィッグを持ってくると、私に付けた。
そして黒いズボンに灰色の長袖インナー、黒のパーカーを私に着せる。
その後、なんと男が私に化粧を始めた。
それも、ナチュラルに。
チークを濃いめにしているのは、血色がよく見えるようにだろうか。
それが終わると、男は自分の支度をし始めた。
私はうとうとして待っていた。
しばらくして終わった男は私のところに戻ってくる。
そしてなぜか頭ぽんぽんされる。
うとうとしていたので、それがすごく、心地よかった。
その手に擦り寄ると、男がふわりと笑う。
最初の印象と違って、男はよく笑う人のようだ。
そのまま、男は私を横抱きに抱き上げると、玄関の扉を開いた。
鍵をした後、廊下を歩き、エレベーターで一階へ。
そして。
エントランスを抜け、自動ドアが開くと、太陽が燦々と照りつけた世界が広がっていた。
いつぶりだろうか。
太陽の元にいるのは。
日に当たることがほとんどなかった私の肌は、青白い。
少しヒリヒリとするくらい照りつける太陽に、私は少しだけ頬を緩めた。
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