第23話
「お前…、一体なんだ」
男B──相澤璃久は鋭い視線で私を射る。
ギリギリと締められる首。
苦しさはあるが、パクパクと口を動かし、答える気があることを示す。
それを察したのか、璃久はその手を少しずつ緩めた。
「ゴホッ…あ、なた、の、ゴホッ、主が、私を拾いました。
……そちらの男性は私のことを知りません。
どこで拾ったかに関することは、その男性は知っていますが、なぜ拾ったのか、なんのために拾ったのかは伝えられていないようなので、知らないはずです」
璃久は私の首から手を離さずに、目線だけ男の方へ向いた。
男はそれにビクッとしたが、璃久が視線を外すとホッと体の力を抜いた。
「……女ぁ。俺のこと、知ってたなぁ?
…こいつのことは知ってるかぁ?」
「……斎藤幸架(さいとうさちか)。20歳。」
男──斎藤幸架がこちらをハッと振り向く。
「接触回数、4回。いわゆる何でも屋稼業の助手。家族構成不明。武器所有、なし。ーー小学校、ーー中学校、ーーー高等学校卒業。現在ーー大学に通う3年生。」
璃久と幸架の顔が険しくなっていく。
「極めて温厚な性格で、殺人ができず助手に。璃久が所属する何でも屋稼業、──戦闘特化型組織LUNA──ルナに所属。武器の密売、密輸、依頼場所の確認とターゲットの顔写真、等の詳細を調べ、伝えるなどの補佐を主にしている。
……その他詳細について聞きたいことがあればお訊きください。」
「………」
「……それ、どこで知った」
黙り続ける幸架に代わって璃久が問いかける。
「……その情報にはロックがかけられています。暗証番号を提示してください」
「「…………………は?」」
見事にハモッた。
あんなに仲悪そうだったのに。
「……そろそろ寝たいので以上ということでログアウト致します。それでは、おやすみなさい。」
「……は?え?…あ、おい!待て!寝るなぁぁ
ぁぁぁ!!!」
半ばヒステリックになりながら私を起こそうとする璃久と、何が起こっているのかわからず唖然とする幸架。
そんな中、私はすやすやと眠りの世界へ出発した。
あぁ、疲れた。
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