Prologue

Last Night

第1話



マンションの部屋は引き払った。


家具はすべて捨てた。


服もアクセサリーも下着も、身につけているもの以外すべて捨てた。


お金も捨てた。








そのまま、ゆっくりと深い森へ足を踏み入れる。








後悔はない。










あるのは、苦しみから解放される安堵と愛されなかった寂しさだけ。











それだけを胸に、深く、深く、森を進んでいく。











夜の森は、心の穴も、闇も、苦しみも、全てを受け入れてくれた。


風が吹く。


髪が舞う。







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