魂鎮めの巫覡
熊谷うたた音
第1話 木の上
春の柔らかな日差しが差し込む午後の教室で、旭は微睡んでいた。抑揚のない平坦な教師の声も右耳から左耳へと通り過ぎていく。
「ねっむ......」
早く終わんねーかなと時計の秒針を目で追うが、15目盛り進んだ辺りで飽きてしまった。窓に目線を移すと、静かな校庭に咲く桃色の大ぶりな花に蝶が止まっているのが見えた。
あの花何つうんだっけな。なんか紘子が好きっつってた気が......いや、それはもっと小さいやつだったような。
そんなことをボーッと考えながら重力に従って落ちる瞼に抗うことをやめた途端、チャイムが鳴った。
「今日の総合学習は警察庁から職員さんが来るから係のやつは5分前になったら迎えに行けよ〜。」
ああ、今日は7限あるんだった、と旭は帰り支度を始めようとしていた右腕を渋々机の上に戻した。緩慢な動作で机に突っ伏して束の間の休息を堪能する。背中に降り注ぐ日の温かさが心地よい。
しばらくするとガラガラと立て付けの悪い引き戸の空く音がして、旭はもう休憩終わりかよと目を擦る。
「起立!本日は警察庁
係に連れられて教室に入ってきたスーツの大人二人をまじまじと見る。軽快な足取りにハツラツとした笑顔の女と、なんかデカくて硬そうな男。男はまだ小春日和だというのにジャケットを腕にかけハンカチで汗を拭っていた。
いつも来るくたびれた社畜やギラついた目の営業マンとは違う、黒シャツを纏う二人の異色のオーラに旭を含めクラス全員が背筋を正した。
「はーい!ご紹介に預かりました警察庁特祟課の二等征伐官、
編んでひとつに結んだ明るい茶髪を揺らして女が挨拶した。そのおどけた調子に男が顔を顰める。
「なんだその紹介。主題はイケメンじゃねえだろ。」
「だーいじょーぶ!ちゃんとプレゼンの中盤くらいに差し込んどいたから、去年の忘年会の写真。てかノギすんも自己紹介しなよ。」
「あー。
渋々名乗った男は教室に入ってから初めて生徒の方に目線をやった。深い紺色の髪が午後の日差しを浴びて輝いていた。委員長が大袈裟に拍手をして周りに同調圧力をかけてくるので、旭も仕方なくパカパカと両手を打ち付ける。こいつら公務員なのに髪色派手じゃね?と気づいた旭は、なんだか話を聞く気が起きた。こいつらちょっとおもろそうじゃん、と。「今日は特命祟害対策課、通称・
「いや、わかるだろ!さっき自己紹介しちゃったじゃねえかよ!」
「やだなあ、ちゃんと聞いてるか確認だよ。はい、わかる人〜?」
委員長が挙手する。まあさすがに俺もわかってるけど、答えんのとかダルいし、と旭は目を逸らしてまた窓の外を眺めた。
「
「うん、正解!怨みを抱いて死んだ人間の魂が祟りをもたらすことで起こる被害を、祟害と呼びます。」
「そしてその祟りをもたらす魂・祟魂を征伐するのが俺ら特祟課の業務だ。先週もこの区内で一件起こっていたのは知っているか?まあここからは遠かったが。」
「特祟課の詳しい業務内容は極秘だから紹介できないんだけど、まあ端的に言えば
日常生活で聞き慣れない「征伐」という言葉に旭はぱっと視線を前に戻す。ポリ公の話なんてどうせ綺麗事ばかりでつまんねーだろと思っていた旭は、唐突な少年漫画展開の気配に心が小さく跳ねた心地がした。頬杖をつきながら目線だけ前を見る。
「んでこれが特祟課の現メンバーだ。4人しかいない。そう、深刻な人手不足っつーやつだ。」
男が操作してプロジェクターに映った集合写真に目を見張る。男二人と女二人のたった四人で構成された部署。部署と言えるのか?と旭は呆れつつ写真から目を離して、再び目を見張る。すんげえ美人が二人いる。長いサラサラの黒髪に鋭い目つきの美女と、華やかな金髪碧眼の北欧美女。いや、今いる奴らも妙に顔が良くてうぜーなとはさっきから思ってたけどこれはレベルが違う、と旭は写真に釘付けになった。
「お〜ザワついてるザワついてる。そう、これがさっき言ったすんげえ美人ね。こっちの怖そうな美人がうちのボス、最年少征伐司令官で規格外エリートの
「前者は男だぞ、男子諸君。間違えんじゃねえぞ。」
男の衝撃の発言に旭を含め全員が写真を二度見する。確かに線の細さや色の白さは女のような儚さを醸し出しているが、身長は高そうだ。世の中色んな奴がいるもんだな~と、旭はいつの間にかあんぐり空いていた口を何事も無かったかのように閉じた。
「え?美人の方が来ればよかったって?だよね〜あたしもそう思う。スケジュールの関係でね、ごめんね~!」
「は?それじゃ俺がイケメンじゃないみてーじゃん。撤回しろ。」
唐突に男が喚き出す。うぜーこと言ってるのにイケメンなのは認めざるを得ないから余計うぜー、瞳の下にあるほくろとか、絶妙に長い襟足とか、全部うぜー、と旭は心の中で唸って机に突っ伏した。女が呆れたように顔を顰めて反論する。
「いや、あんたが一般的にイケメンかどうかは知らんけど、あたしのタイプじゃないもん。誰が見ても見とれる顔って意味で言ってんの。」
「は?俺はイケメンだろ!」
「わーったって、もー!」
「いいかお前ら、俺はイケメンだ。そしてこの俺の後輩になれるチャンスを紹介しに、俺は今日来た。さっき配った書類を見ろ。」
「いや導入の仕方意味わかんないって!」
促されて旭もよっこらせと起き上がり、顔の下敷きになっていた手元の紙を読む。「警察庁特命祟害対策課
「はは、たけえだろ。放課後だけだし、しかも研修期間終了後はそのまま警察庁に就職できる。もちろん辞めてもいい。」
「寮付きだし上司も4人だけのアットホームな職場だよ!研修征伐官になるにはまず適性試験があるんだけど、主に運動神経の良さを見るから自信ある子は是非応募してね。」
「応募要項の詳細はホームページで確認しろ。募集人数は5人。他に質問ある奴はいるか?」
「はい。」
またも委員長が挙手する。なんだよ、こんな真面目な奴でもやっぱ金欲しいんだな、と旭は頬杖をつきながらスマホでホームぺージを開く。
「なぜ時給がこんなに高いのですか?そして明らかな人手不足なのにたった5人しか募集しないのはなぜですか?」
「やっぱ気になるよねえ。ま、ちゃんと政府のお仕事だから怪しいヤツではないよ。ただね、まあちょっと危険っていうか......研修だからね、基本的に後方支援がメインにはなるんだけど、危険な現場に行くことには変わらないからね。」
女は若干小声で言いづらそうにそう言い、肩を竦めた。
「5人ってのは、その人手不足が原因だな。研修生の教育も人手不足っつーわけだ。ちゃんと教育しないで死なれても困る。」
男が自然に口にした「死」という単語にしんと静まり返る教室。
「ちょっと、あんまそういうの言うなって言われてるじゃん。」
「隠したってしゃーないだろ。大体人手不足も殉職率が高いせいだし。」
戸惑いのざわめきが薄く広がる教室に場違いなチャイムが鳴り響いた。
「.......てことで、今日の話は終わり!18歳以上の人は是非応募してね〜!じゃあね!」
慌てて勢いだけで話をまとめた二人はすごすごと教室を出て行った。
うーんと伸びをして旭は席を立つ。
「なあお前これどう思う?やばくね?」
運悪く席替えで教室の両端に離された友達・嶺岸が鞄で旭の肩をどついて尋ねた。旭はニヤリと笑って振り向く。
「俺これ応募しよっかなー。」
「は!?マジ!?」
「だってバカみてーに稼げんじゃん。なんかかっけーし。漫画の主人公っぽくね?」
「うわー、お前バカだなー!」
旭の言葉に嶺岸は吹き出して旭の背中をバコバコと叩いた。いてぇんだよやめろよ、と旭は身をよじる。
「まあうちの学校から受かるとしたら旭しかいないだろうな。ぶっちぎりで運動神経良いし。」
「まあな〜体力テスト全国一位だし?」
「うっぜぇ!祟りに呪われて死ね!」
春の麗らかな陽気に一歩踏み出すと、胸の奥で花がほころぶような気持ちがした。もし受かっちゃったら最高にカッコよくね?落ちてもなんか失う訳でもないし、ノリで受けちゃおっかな、と早速研修征伐官適性試験に応募しようとポケットからスマホを取り出した。途端、緊急祟害発生速報がけたたましく鳴り響く。
「うっわ、近いじゃん。ギリ避難区域外って感じか。」
「ここ通らないと家帰れねーじゃん。」
「な、ちょっと見に行かね?」
「は?あぶねえだろ!」
顔をしかめる嶺岸の頭を旭はニヤニヤしながら手のひらで掴み揺らす。
「なんだよお前、怖いの?」
「てんめえ......!そこまで言うんならいいぜ、付き合ってやるよ!」
「遠くから見るくらいじゃへーきだろ。大丈夫大丈夫!」
イタズラを企んでいる時のようなスリルとワクワクに胸を高鳴らせ、旭は足早に事件現場へと向かう。同じ速度で着いてくる嶺岸に、なんだ、お前も楽しんでんじゃん、と旭はほくそ笑む。道に並ぶ街頭のてっぺんに一メートル間隔で取り付けられた祟害アラートの赤い光が目に入り、二人は足を止める。
「こっから先が避難区域の半径300メートル範囲内ってわけか。」
「今んとこ何も見えねえし音とかも聞こえねえな。高いとこ登ったら見えっかな?」
二人は赤いランプの街頭を超えて一歩踏み出した。空気がキンと冷たく張り詰めたような気がして旭は僅かに眉をひそめて嶺岸を見るが、嶺岸は変わらずいたずらっ子の薄ら笑いを浮かべて登れそうな建物を物色していた。気のせいか、と旭もスマホを開きマップの航空写真から良さげな屋上を探す。
「あ、公園の木ならあるぜ、でかいヤツ!」
嶺岸が思いついたと人差し指を立て振り向く。
「あー、公園あったなこの辺に。それでいっか。私有地入ってバレたら面倒だしな。」
旭は答えてスマホをポケットにしまった。小学生の頃よく遊びに来た公園だから道なら体が覚えている。アラートが鳴り当然誰も居ない公園に二人が砂を踏む音が微かに響く。旭は以前より長くなった腕に戸惑いながらもスルスルと木に登り、ある程度高く丈夫そうな枝に跨る。葉の間をぬるい風が通り抜け、旭の額を無防備に晒した。下を覗くと肩で息をする嶺岸が地上からそう遠くない枝にしがみついている。
「手はかさねーぞ。それで見逃したら最悪だもんな!」
「うっざ死ね!もう俺ギブだわ。動画撮って実況しろ!」
嶺岸が恨めしげに睨んでくるが、上から見下ろしている旭からすれば滑稽な姿だった。そんな嶺岸に哀れみの視線を送ったあと、旭は祟害発生場所とされる北東に目を凝らす。遠くで陽炎のような空気の揺れる気配が微かに感じられるが、未だ何も捉えることができない。旭がムキになって目を細めながら前のめりになって見つめると、突如突風が木々の間を吹き抜けた。
「うおっ!」
「おい大丈夫か!落ちんなよー!」
「へーきだって!なめんなよ!」
嶺岸に無事を知らせようと下を見たが砂埃が舞って何も見えない。入り込む砂に思わず目を瞑って呼吸を止めた瞬間、地鳴りと共に重苦しい気配がズンっと近くに降ってきた。驚いてはっと目を開けると、砂の靄を切り裂いて弾丸のような速度で人が飛んできた。
「ひっ!」
旭は思わず枝の端に寄り木の幹にしがみつく。その人は一秒前まで旭が座っていた場所にすたっと着地し、旭の方に振り向いて目を見開いた。
「坊主、何やってんだ!警報が聞こえなかったのか!」
旭と目が合った瞬間凄い剣幕で怒鳴られ怯む旭。よく見るとその男は先程学校に来ていた征伐官の男だった。
「や、なんかここで昼寝してて......!」
「死にたくねえなら今すぐ降りて赤いランプがついてねえとこまで走れ!」
旭の苦しい言い訳にチッと舌打ちを零してそう捲し立て、男は獲物に向き直る。
「う、っす!」
旭の返事を聞くや否や男は木の幹を蹴り空中へ飛び立った。両手に握る銃のようなもので砂埃の先に隠れる「何か」に立ち向かっている。蝶のように飛び回る男と複数の影に見蕩れ放心していた旭はふと我に返り慌てて木から飛び降りる。
「大丈夫か!」
下では嶺岸が太い木の幹を背に隠れるように身を小さくしてしゃがみこんでいた。
「な、何なんだアレ!」
「いいから逃げんぞ!」
二人は鞄を引っ掴んで一目散に砂の中を駆け抜ける。公園の柵の外に出た瞬間旭は一瞬振り返り、自分の目を疑った。
「な、何だよアレ!」
何度も響き渡る銃声の中心にいたのは、人でも動物でもない「何か」だった。
「魂憑きって、人間じゃねえのかよ!」
人間に祟りが憑依して人を殺すって話だっただろ、と旭は思わず足を止めてしまった。
「何してんだよ旭!」
「だ、だってよ、アレ......」
旭が指す先にいるのは、隣町の女子校の制服を着た人間だった。しかし、その背中からは恨めしげな顔で睨みつける男の首と無数の腕が伸び、四方八方に振り回して砂埃を起こしている。その手は人間をすっぽり掴んでしまうほどの大きさで、低木や遊具を引っこ抜いては投げていた。それらが狙うは征伐官。物体が地面に叩きつけられる度に地が波打つ。しかし彼らは投げられる物体を優雅に躱しながら、公園の中心にある先程の大木を足場にそのバケモノに攻撃を仕掛けている。そこでバケモノは背後にある公園の岩のオブジェを持ち上げようとして、余程重かったのか振り回していた無数の腕を全て総動員した。途端、顕になった制服の胸元に、キラリと光る黒い鉱物のようなものが見えた。黒い長髪を揺らして舞う征伐官の一人が瞬時に距離を縮め、その鉱物を見事撃ち抜いた。
鉱物が弾ける瞬間、キーンと耐え難い重さの耳鳴りが脳に響き、旭は頭を抱えてしゃがみこむ。五秒ほど経つと耳鳴りは収まり、ずっと感じていた重苦しい気配も跡形もなく消えていて、柔らかな春の陽気が辺りを包んでいた。顔を上げた旭は隣で同じように蹲る嶺岸に手を貸して二人で立ち上がり、スラックスについた砂を手で払った。
「なんか、すっげえもん見たな......」
「な。ガチで死ぬかもって思ったわ。」
「てか何アレ、ぜってえ人間じゃねえじゃん。」
「だよな、完全に人外の見た目......」
そこまで言った嶺岸が突如言葉を切る。どしたん?と旭は嶺岸を見て、はっと息を止めた。
「......どんなんだったっけ.......」
旭のつぶやきに嶺岸も唇を震わせて細い息を吐く。背筋がスっと冷えていく。
「何も思い出せない。アイツのことだけ......」
「あんなに怖かったのに、なんで......」
「祟害に遭遇すると起こる記憶障害って、これか。」
旭は自分の意識外で自分が塗り替えられた得体の知れないおぞましさに身震いした。でもはっきり覚えてるのは、征伐官たちの勇姿。その光景を思い出し、旭の恐怖は徐々に期待に塗り替えられていった。そうじゃん俺、あのバケモノに勝てる方法あんじゃん、と旭は震えの止まった足で避難区域外に一歩踏み出す。俺も征伐官になればいいんじゃん、と。なんか俺、主人公っぽくね?旭は長年心に秘めていた非現実的な憧れが手の届く場所に近づいたように思えて、高鳴る胸をもはや隠しきれなかった。適性試験に落ちる気が全くしない。絶対受かって特祟課に入って、戦って祟りを征伐して、人に感謝されるヒーローになる。旭は根拠の無い確固たる自信のもとで浮き足立つのを隠しきれなかった。
「え、何笑ってんのお前......」
それに気づいた嶺岸がいかにもドン引きですというように仰け反る。
「いや、かっこよかったんだよ、征伐官。」
「えー、何それ!お前だけずりい!俺見たもん覚えてないしただ命の危機冒しただけじゃん!」
「お前が木登りできないのが悪いんだろ~」
「うっわうぜぇ!祟られちまえ!」
赤いランプの消えた住宅街、清らかに澄んだ春のそよ風が二人の髪をささやかに揺らした。
「ね、木登りしてたワルイコはどうしたの?」
砂埃の晴れた公園から四人の男女が歩いてくる。砂のついた手に構わずに目にかかる前髪をかきあげて猪爪は芒崎に尋ねた。
「無事に逃がしたに決まってんだろ。」
ポケットから取り出した煙草に火をつけて答えた芒崎を睨みつけ、霧月はため息をつく。神経質そうにズボンの裾についた砂を払い、その手をきちんとウェットティッシュで拭った。
「お前、見たか。あいつの身のこなし......」
「ああ。あの高さから軽々飛び降りて、着地後のラグもなく即座に走り出した。見込みあるな。」
「へえ。じゃあ絶対あの子だね、一位の子。でも今の騒動で余計応募したくなくなったりしないかな。」
岩のオブジェを長い足で蹴り上げて傾きを直していた萩坂が首を傾げる。緩いウェーブのかかった髪が夕日を浴びて黄金に輝いた。
「その可能性は高いだろう。第一、狙いの奴が狙い通りに入ってくるかは完全に博打なんだ。それに俺は最初から高校生を研修に呼ぶのは賛成していない。誰も適性が出る奴が居なかったら、現状のままで支障無い。」
使用済みのウェットティッシュを几帳面に畳みながら霧月は分かりやすく眉間に皺を寄せた。
「はーい椿の嘘つき!たった四人だけで支障ないわけないでしょ!この際ちょっとどん臭くてもいいから誰か入って欲しいものだよぅ。まさに、猫の手も借りたい、だにゃ~。」
猪爪は砂だらけの手を萩坂に拭われながらおどけた調子で抗議した。
「猫じゃ祟魂には勝てないよ、きな子。それに研修生が入ってきたら教育もしなくちゃ。私たちの業務量増えるんじゃない?」
「嫌なこと言うんじゃねえよ、萩坂。こういうのは投資と一緒だろ。」
「おい、無駄話はそこまでだ。早く車に乗れ。帰るぞ。」
霧月は黒い車体に赤のラインが入った特祟課のパトカーのドアを開ける。助手席に芒崎、後部座席に萩坂が乗り込む。それに続いてよいしょっと、と乗り込もうとした猪爪がああ!と叫び声を上げた。
「うるさいぞ、猪爪。」
「急に叫ぶんじゃねえよ。なんだってんだよ。」
「や、あの、」
猪爪は乗りかけの車体から手を離す。
「学校にパトカー忘れちゃった!」
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