ワカハラ・リカハラ(造語)
明鏡止水
第1話
〜フィクション〜
★「……あ、もしもし、じつはこどもが、……」
「あ! お熱?!
うんうん、
わかってるよ!
僕に任せなさい! ゆっくり看病してあげてよ! お子さんまだ小さいでしょ? もう、ショッチュー、オネツダヨネ。小さいウチは!!
おっと、持ち帰った書類の進捗だけでもいいかな?」
★「あの、すみません、今日、二日目の、毎月のアレで吐き気とまらなくて、……」
「オーケイ! オーケイ!
理解してるつもりだよ!
女性ってだけでも大変だもんね、コッチは任せて休みなさい、ね❤︎ 体あったかくするといいんだってね!」
※インタビュー1
↓
〈わかってくれるのはありがたいんです。……でも、なんていうか、申し訳ないとかまでは思わないんですけど。ほんと、些細で……。
『わかって』もらってるのが苦痛、っていうか……。
凹む感じなんです。
なんかこう、釈然としない気持ちがあって……〉
※インタビュー2
↓
〈体調とか体質とか……、理解してくれる、ホワイトな対応のトコ、増えたな、って思う反面、その『りかい』……、なんですケドネ……。
押し付けがましくは無いんです!!
むしろ清々しー、みたいな。
でも、なんかウザい、みたいな。
私の性格がひん曲がってるんですかね。理解できるよー、いいよー、みたいな態度に多少のわだかまりがあるんです……〉
★ナレーション★
「いま、人々の多様性や自分らしさ、どう生きていくかに注目がいく中。
改めて互いを尊重し合い、その互いの置かれた環境や立場、役割を把握し配慮する……。
そういったはたらきが見直されています。
……しかし、そういった『配慮』がすべて受け手にとってありがたいものかどうかは微妙なところもあるようです……。
『配慮』を受ける側にとっては、その『承諾』や『理解』が重荷に感じるようなのです。
一体どういう事でしょう。
街の人にインタビューしてみました」
★なんか、理由とか言うと。
あー! わかったよ! じゃ!
みたいな……。
なんか……、理解され過ぎてて逆に辛い、みたいな。
★普段の会話から納得してもらって、いざという時すぐ理解してもらえて助かってるんですが、自分の中でその親切が消化しきれない感じで。甘えちゃうのもなー、って。
★わかってるから、理解できるから、知ってるから、経験してきたからいいよ、いいよー、ってなってやりやすいんですけど。まだついていけてない。これってもやもやするな、って。
〜ナレーション〜
「どうやら、みなさん。
昨今の周りの対応に、なんだか、気後れしている様子……。
困ったような、助かったような。
人によっては、
『わかっているから、理解できるから』
という相手の心情が重く感じ、ハラスメントとまで捉える人もいるようです。
ワカハラ
や
リカハラ
などと呼ばれているそれらは、他人との打ち解けあいや距離感、また、どこまで歩み寄り言葉がけに気をつけるか、など。
難しい問題を浮かび上がらせてきます……。
なかには、
★いっそ、AIが全部質問に答えるだけで欠勤、早退、忌引き、すべてを管理し、データ化
して会社がまとめて処理してくれた方が
『気楽』
だという声も……。
今後の日本でも、さまざまなことが周知され、さまざまな対応が検討される中。
思わぬハラスメント……。
不快感や尊厳の維持、嫌がらせへの対処やサポートをより気軽に受け入れられる運びが必要なようです。
以上、夕方の『ギフト・インタビュー』でした」
ワカハラ・リカハラ(造語) 明鏡止水 @miuraharuma30
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます