殺さない殺し屋
氷
第1話 殺し屋
ここは、所謂「殺し屋生育所」。
優秀な殺し屋を育てるための学校だった。
初めてこの学校に入学した。
亜久「、、、」
その学校は、普通じゃなかった。
普通の学校で言う「下駄箱」と言う所は、血にまみれていて、、ナイフが落ちている。
だけれど、教室とかは意外と綺麗であり。
放送「入学式を始めます。」
放送「ホールに集まってください。」
そんな放送が鳴って、私の学校生活が始まった。
先生「入学者の皆さん。」
先生「おめでとうございます。皆さんは、殺し屋として立派に成長出来ることでしょう。」
先生「これから、クラスと担任を発表します。」
先生「各自、移動してください。」
舞台に乗っている先生は不敵な笑みを浮かべて、我々生徒を見つめていた。
亜久「、、」
その瞬間に、私とその上の先生とで目が合った気がした。
そして、その先生は聞いたことも無い言葉を告げる。
先生「死なないことを、願っていますよ。」
と。
私は、クラスに移動していた。
私のクラスは、「C組」。
ここは、殺し屋のランクによって組が分けられる。
そして、最底辺のクラスに私は入ってしまった。
どうやら、このクラスはこれまでの実績によってランクが決まるらしい。
すると、その教室に担任と呼ばれる先生が入ってきた。
ミャラ「静かに。」
ミャラ「このクラスの担任を務めます。ミャラと申します。」
ミャラ「このクラスでは、基礎体力訓練、技術向上訓練、この二つを徹底的に高めます。」
ミャラ「早速ですが、移動しましょう。」
ミャラ「私の授業を、、少々覚えて頂きます。」
クラス中が、、ざわめいた。
この担任が、どれほどの実力を持っているのかを知ることが出来る。
私は、もっと強くなる。
殺し屋として、、とても優秀な存在に。
担任に連れられて移動していた。
その途中、血なまぐさい、慣れている匂いが漂ってきた。
ミャラ「この学校では、使えないと分かれば即座に処分されます。」
ミャラ「今、このクラスにいることに危機感を持ってください。」
ミャラ「私の生徒が死んでしまうのは、私としても受け入れ難いので、貴方達には嫌でも強くなってもらいますが。」
そんな冷静な返答を聞いていると、とある広い場所に出た。
体育館だろうか。
ミャラ「では、この場所で。」
ミャラ「誰か、最初の実験体になってくれる人は居ますか?」
ミャラ「最初なので殺しはしないので、安心してください」
そんなことを担任が言うと、我々はお互いに顔を見合わせた。
まだ、名前も知らない殺し屋同士だ。
勿論、殺し屋なんて言ってあるがために、私達は死ぬという行動に慣れすぎている。
だから、死にたくない、など思うことは無かった。
すると、1人の生徒が手を挙げた。
生徒「俺が行く」
ミャラ「では、私の前に立ってください。」
生徒「ここか?」
瞬間、担任は手を伸ばした。
生徒「おいおい、、何を、、」
ミャラ「しっかり見ててくださいね。」
ミャラ「一瞬ですから。」
私たちは、その行動に不思議に思っていたが、後に答えは出て。
ミャラ「、、、」
生徒「ッ!!!???」
手を伸ばして数秒後、担任の姿が消え、生徒が後方に吹き飛んだ。
その姿は、我々殺し屋でも認視できるものではなく、、。
亜久「、、、え、?」
クラス中「、、ザワザワ、、何が起きたの?、、、」
我々は、唖然としていた。
血まみれになり、壁にもたれかけている生徒の姿があった。
亜久「、、嘘、、視認できない、、」
全く、視認出来なかった。
この事実は、殺し屋にとって致命的なのだ。
視認。
命取りになるこの五感は、殺すときの重要な武器となる。
見て判断して避けるか殺すか。
でも、、視認できない時点で、、我々は死んでいる。
ミャラ「見ていましたか?」
ミャラ「これが、技術向上訓練です。」
ミャラ「体力向上は、実際の殺し屋として仕事をしてもらいますのでご安心を。」
ミャラ「明日から本格的に技術向上訓練を始めます。」
ミャラ「スマホに、この学校のメールIDを追加しました。」
ミャラ「依頼は個々のスマホに学校側から来ますので、それに従ってください。」
ミャラ「体力向上訓練の時は、私から直接言いますので、メールは関係ありません。」
ミャラ「それと、メールに書いてある依頼を1件でも殺しそびれましたら、その瞬間に始末されますので気をつけてください。」
ミャラ「では、また明日。」
そんな端的に説明をして、担任はこの場から去った。
まだ、皆が唖然としていた。
C組。
危機に面しているためか、その授業内容は死そのものだろう。
私は、教室に戻っていた。
家に帰るのも良いが、別に用もない。
この学校を見て回ることにした。
廊下を一人の足音が響き渡る。
気配はしないが、この学校には500人近い殺し屋が居る。
足音と共に、メールの音がした。
早速の仕事だ。
私は、少し立ちどまり、そのスマホを覗き込んだ。
その時だった。
亜久「、、?!」
誰かが、私の肩にぶつかった。
少し体制を崩したが、転ぶことなど有り得なくて。
?「、、、悪い。」
フードを被った私と同じくらいの少年が、私の方を向いてそんなことを言っていた。
亜久「いえ、、お気になさらず。」
そんなことを言い、私はまた歩き出し、視線をスマホに戻した。
だが、不思議だ、。
なんだあの気配。
担任とはまた違った、血の匂いも何もしない、底知れない気配。
私は背筋が凍った。
そんなことを気にしないように、私はスマホを覗き込んだ。
〖住所_〇〇〇-〇〇-〇〇〇-〇〇〇_
特徴 ・黒いニット帽
・背丈170
・男
明後日までに殺せ。場所は問わない。 〗
私は、少し立ちどまり、こう返答するのだった。
〖了解。直ちに。〗
屋根を淡々と飛び越え、その住所に向かった。
男「ヒィ!?た、助けてくれよッ、、!?」
亜久「すみません。仕事ですから。」
私は、拳銃をそのターゲットに向けた。
焦っていた。
メールが来て30分。
昨日は、、24分。
6分遅くなっている。
男「金だろ?金、」
男「いくらだ?いくらで助けてくれる?」
亜久「、、、」
私は、その男を睨みつけた。
あぁ。なんで迷っているのだろう。
さっさとこの引き金を引けば、殺せるのに。、、。
あぁ、、そうか。
私は性格が悪いのだ。
ここまで時間がかかった恨み、、この引き金だけで足りるものか。
亜久「、、、」
無言で、その男に近づいていく。
拳銃は、、それまでに落としていた。
男「おい、、ま、待ってくれって、」
男「し、しにたくない、、、、」
亜久「、、、」
?「じゃあ、、早く逃げろ。」
?「、、w」
亜久「?!!!」
いつの間に!!!?
背後、!?
亜久は、男から視線を離し、その人に目を向ける。
さっきまで亜久の肩の上で話していた顔は、いつの間にか5m程の距離を取っている。
亜久「貴方は一体なんですか!?」
この少年、さっきぶつかった。
何者だ!?
?「、、一何時、ターゲットから視線を離すな。」
?「お前は、今誰を見ている?」
?「その行動が、、、」
亜久「?!」
?「ターゲットを逃がしている。」
私は、冷静だった。
逃がしたと分かり、スマホで時間を確認する。
今回の依頼は、捨てだ。
時間がかかりすぎた、評価は高くならないだろう。
そうなれば、明後日までにゆっくり炙り殺せばいいだけである。
簡単だ。
亜久「何者ですか。」
亜久「私に何か、?」
?「、、、」
亜久「そのフードを、取ってみたいものですが、、」
亜久「まぁいいでしょう。」
亜久「ターゲットを逃がしてしまいました。」
亜久「では、私はこれで。」
?「C組になぜいる」
亜久「、、?」
?「C組の奴らは、依頼をこなすのに最低24時間だ。」
?「お前は、、」
その少年の声は、私がこれまで聞いてきた物よりも重すぎて。
背筋が凍る。
?「何をしにC組に居る?、、w」
亜久「、、、」
私は、その声を無視し出口に向かう。
これから、ターゲットを探し、殺す。
亜久「、、、失礼。」
拳銃を拾い、また、屋根を超えていく。
?「、、、」
?「、、、w」
殺さない殺し屋 氷 @y00999099
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