第2話 仕事
俺はその暗い倉庫に一人で来ていた。
そして、スマホを地面に叩きつけ蹴って壊した。
おそらく、盗聴器、GPSなどがつけられてしまっているだろう。
今壊したスマホは俺の仕事専用のものだ。
水亜にバレることは無い。
残り時間は、30分が限界というところだ。
凪「早く、、帰らないとな。」
その瞬間、俺は後ろから放たれた銃弾を難なく交わす。
凪「風向き、銃声、足音、狙撃か。」
俺は、倉庫の物陰に素早く移動した。
そして、手に持っていたナイフを構えて、
物陰から振り返らずに、手だけを伸ばして、
放った。
凪「、、、」
凪「威嚇だったことに気づかれたか?」
凪「まぁ、、いいか」
そんな事を一人でに言い、物陰から歩を進めたその時だった。
凪「、、、」
俺は、俺を囲っている数十人の人影があることに気がついた。
凪「「気配はしない」」
凪「「それに、血なまぐさい。」」
そんなことを思っていると、その中の一人の女が銃を構えながら俺に向かって歩み寄ってきた。
俺は、表情一つ変えることのなく、その女と向き合った。
バラ「やぁ、君が凪くんか」
その女は微笑みながら俺に話しかけてきた。
凪「ああ、そうだが、お前らは」
バラ「その前に君の実力を賞賛しよう」
バラ「即座に狙撃と見抜き、頭の中の計算だけで威嚇した」
バラ「実に見事だったよ。」
凪「何が目的だ」
バラ「じゃあ単刀直入に、、」
バラ「君、、、我々の組織の仲間になってくれないか」
バラ「君は今、一人でその仕事をこなしている様だね」
バラ「それもいいが、我々の組織の仲間になれば、もっといい活躍ができるだろう」
バラ「君はこっちの世界に来るべき存在だ」
そう言って、バラは俺に向かって手を差し伸べた。
俺は、少しため息をついて。
凪「悪いが、断らせてもらう」
凪「お前らの仲間になって、俺にメリットが何も無い」
凪「それに、俺は、こっちの世界が好きなんだ」
凪「邪魔をするな。」
そう言って、俺はドア一直線に向かって歩き出した。
途中、何十人もの人が俺に銃を向けたが。
バラ「よせ、お前達」
その言葉と同時に、その人達は銃を下ろした。
バラ「いいんだね?」
バラ「君は、きっと後悔するよ。」
バラ「その世界が、、壊れてしまうほどにね」
そんな言葉を無視して、俺は倉庫から出ていった。
こんなことをしに、ここまで来たのかと思うと、俺は少し悲しくなった。
そして、そのままゆっくりと歩いて家に向かっていたのだが、
途中、帽子を被ったとある女性とすれ違った。
その姿は、俺は見た事がある。
そして、俺の耳に囁いた。
九「本拠地に来い。時間は問わない。」
1歩も止めることなく、淡々とその言葉が告げられた。
明日は、少々、学校で疲れることになるだろう。
俺は、誰にも見つからぬ速度で屋根を飛び越えて家に向かった。
凪は、家の2階の窓の縁に立っていた。
凪「なんで、、」
黒春「よっ!」
そこには、俺の勉強机に座っている黒春がいた。
俺は窓を開け、フードを取る。
凪「なんでここにいる」
黒春「さっき、本拠地に来いって言われたでしょ?」
黒春「本拠地に来る前に事情説明しとけって上に言われちゃってさ」
黒春「だから、僕はここに来たんだ」
そこに居たのは、今日の昼、学校で話していた黒春では無くて、気配も動きも話し方も、何もかもが違う黒春と言う人物がそこには存在していた。
凪は、何も無いように勉強机の他の机に置いてあるPCに手をつけた。
凪「何の用だ」
黒春「さっき、凪のスマホに「バラ」と呼ばれる人物からのメールが来たと思うんだけど」
黒春「そのバラは僕達がいる組織じゃなくて、別の組織の人なんだ」
凪「ああ、知っている」
凪は、PCに目をやりながら淡々と黒春と会話を続ける。
そして、椅子に寄りかかったと思うと、黒春は凪の横からPCの画面を覗き込んだ。
黒春「これって、バラ達の組織?」
凪「ああ、そうだな。」
黒春「これは、本拠地の構造と、メンバーの情報か、」
黒春「流石だね」
凪「話が見えてこないが」
黒春「ああ、ごめんごめん」
黒春はニヤッと笑みを浮かべると、凪のところから少し離れて。
黒春「向こうの組織を潰すことだ」
黒春「、、、w」
凪「、、、」
黒春「今回、呼び出された内容は、「勧誘」だったんじゃないかな?」
黒春「僕達は、君を1番に欲している。」
黒春「それで、向こうの組織は邪魔ってことになったんだ」
凪は目を細めた。
凪「なんでそれを俺に頼む」
凪「俺は、俺の好きなようにやる」
凪「お前らどちらかの組織の味方をするなど有り得ない」
すると、また黒春は微笑んだ。
黒春「そう言うと思って、僕ら組織はとある秘密兵器を用意した」
黒春「、、w」
凪「そろそろ、水亜が勉強を教えて欲しいと来るんだ」
凪「だから、はや、、、、」
黒春「来ないよ。」
凪「、、、」
凪は、ナイフを構えて即座に黒春の首元にあてた。
黒春「、、、、、、ッww」
凪「何をした」
黒春「そうそう。君がそう言うと思って僕らは先にお姉さんを誘拐させてもらったんだ」
凪「!?」
黒春「君が今、僕を殺すことは簡単だが、僕が死んだ瞬間、お姉さんも死ぬ」
黒春「理解できるだろ?」
黒春「君は、今僕達の味方になるしかないんだ」
黒春「勿論、お姉さんを人質に、君を仲間にするっていう手もあるけど、そんなことをして、君が大人しく僕らの仲間になると思うほど僕らも馬鹿じゃない」
黒春「君の口から、君の言葉で、仲間になると言って欲しい」
黒春「でもその前に、向こうの組織は邪魔だ。」
黒春「僕らと向こうは力は同じくらい強力なもの」
黒春「そんな簡単には潰せないけど」
黒春は凪の持っているナイフを素手で掴みもっと笑った。
黒春「君がいれば、、、、、、勝機しか無いからね」
凪はナイフを下ろした。
黒春「何も、組織に入れとは言っていない」
黒春「潰してくれたらいいんだ」
凪「潰したところで結果は変わらない」
凪「俺は、どちらの所にも入らない」
黒春「大丈夫。」
黒春「こっちの組織の方が頭脳明晰。」
黒春「優秀だからね」
黒春はドアに手をかけた。
黒春「じゃあ、本拠地に着いたらまた会おう」
黒春「お姉さん、、無事で家に帰れるといいね」
凪は、部屋の真ん中で立ち尽くしていた。
黒春は階段を降りていた。
黒春「「そう、君は一人の、一匹狼の殺し屋だ。」」
黒春「「その力は、僕らの組織に大きな影響を与えてくれる」」
黒春「「なんとしてでも、、仲間に入れるよ。」」
黒春「「僕が態々学校に通ってるのは、君のせいなんだから」」
黒春「「それにしても、向こうの組織がどう対応してくるか、、か」」
黒春「「でも、、君が圧勝する姿を僕は見てみたいなぁ」」
黒春「「期待してるよ、僕も、組織も。」」
黒春は家を出ていった。
その頃、凪は、PCで何かを打っていた。
怒り狂いながら、そのメールを淡々と。
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