君が僕に愛してると言うまでは
清野 葡萄
アザレア
『手掛かり一つ見つからない』
『家に手掛かりがないんじゃ、もう捜査しようがないぞ…』
『にしても、不思議だよなぁ人生順調に進んでた小説家がいきなり殺人事件を起こすなんて』
『喋ってないで真面目に捜査してください。一つでも多く証拠を見つけないといけないんですから』
全てのことにおいて順調だった小説家、雨宮薫が今月の10日に殺人事件を起こした。被害者は、浅野明日花。容姿端麗、成績優秀おまけに誰にでも優しく、学生の頃には生徒会長を務めていた。
そんな彼女がなぜ小説家である雨宮薫に殺害されたのか、私たちは捜査しているのだが…
捜査は見事なまでに空振りし続けていた。
『ダメですね、ここにも手掛かりはなさそうです』
『ちくしょう、犯人はわかってるっていうのに…まるで奴に踊らされてるようだ、くそっ』
先輩捜査官がアニメやドラマで言いそうなセリフを吐き捨て、足早に部屋から出ていく。
私もそれに急いでついて行こうとした時だった。
背後からパリンッとものが落ちる音がして、振り返った。そこには花瓶とアザレアの花が水浸しになった床に散らばっていた。
どうやら私が出口に向かう時に落としてしまったらしい。
それにしても何でアザレア…?まぁ、いいか。
そのままにして帰るわけには行かないので急いで片付けようとした時だ。花瓶のすぐ横に綺麗に四つ折りにされている紙を発見した。
『うわっ』
一枚のA4サイズの原稿用紙にびっしりと文字が書き詰められている。何かの手掛かりになるかもしれない。私はその文を読むことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます