コロナ体験談
鴉
第1話 それはやってきた。
2023年末、12月29日ごろ、私と彼女は会社が冬休みに入り、街に繰り出して、当時流行っていた『SPY×FAMILY』の映画を観に行っていた。
ワクチンの台頭とコロナの弱毒化で分類が変わり、パンデミックが終わり一年ぐらい経過しており、ワクチン接種も複数回受け、抗体ができていたため、彼女と会う機会は増やしていった。
ただやはり、映画ということで部屋の構造上どうしても密が気になり、マスクは念のために二重にした。
彼女と別れ、家路につき、コロナ禍初期から習慣になった手洗いうがいをきちんとやり、食事を終えて自分の部屋でダラダラとその日は過ごしていた。
しかし、その日は少し寒く、くしゃみが出なくて出そうとしたがなかなか出ず、そうこうしているうちになんか変な気分になり、風邪でも引くのかなと思って風邪薬をのみ、就寝した。
その次の日だ。
朝起きるが、明らかに体がおかしい、左半身に違和感がある、寒気とかそんな類ではなく、インフルエンザとか重い風邪を引いた時と同じ感覚である。
熱を測ったら36.8°だが、食事後に測ったら38.5°。どう見てもやばく、父に頼んで近所の病院に連れて行ってもらった。
病院は休日診察だったが、すぐさま発熱外来に案内され、コロナの検査をしようということになり、抗原検査と、インフルエンザの検査で鼻に綿棒を2本も入れられた。何度か話には聞いていたが、確かにこれは苦痛である。
待つこと30分後、案の定医者からコロナだと告げられ、車で同乗していた父もコロナだろうから別の病院に行ってくれと言われた。
ここで敢えて薬品名は伏せさせてもらうが、治療薬のMは副反応が強すぎるからやめようと言うことになり、解熱剤と風邪薬を処方された。Zは置いてなかったようである。
自分の他にも、発熱外来に来る人は何人かおり、きっと感染したんだなとそんな想像を掻き立てられた。
帰りの車の中、言いようのない絶望に襲われていたのを覚えており、この日から約1週間ほど、人生の中で1番辛い時期は続いたのである。
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