本戦⑨



セレフィナとロナルドの激闘が続く中、場内は緊張感で満ちていた。ロナルドは冷静さを保ちながら、じっくりと次の攻撃を考える。彼の心の中では、もう一段階の力を引き出す準備が進んでいた。






「これ以上は抑えられないな。」ロナルドは心の中で決意する。彼は自分の強さを象徴する魔法、星の魔法を発動させることを決めた。観客たちはその変化に気づき、ざわめきが広がる。これまで見たことのないロナルドの姿に、期待と緊張が混ざり合った。






彼は大きく息を吸い、星の魔法の詠唱を始める。「星の輝きよ、我が力となれ!」彼の周囲に光が集まり、夜空の星々が彼の指先で煌めき始める。その光は徐々に大きくなり、彼の周囲を包み込むように広がっていく。






セレフィナはその光景を見つめ、少し驚いた。「星の魔法か。これがロナルドの真の力なのね。」彼女は好奇心を抱きつつも、その圧倒的な魔力を感じ取り、心の奥で警戒心を強める。ロナルドが詠唱を続ける中、彼の体から発せられる光は次第に眩しさを増していった。






「星よ、我が意志を受け入れ、降り注げ!」ロナルドの声が響くと、空に無数の星が現れ、彼の魔法が完成する。その瞬間、周囲の空間が歪み、星々の光が一斉にセレフィナに向かって落ちてくる。まるで夜空が彼の意志に応え、攻撃のために降り注ぐかのようだった。




「これが、星の魔法の力か…」セレフィナはその迫力に圧倒されるが、同時に冷静さを失わない。彼女はすぐに反応し、「アイスシールド!」と叫び、魔法障壁を展開する。だが、ロナルドの星の魔法はそれを凌駕する力を持っていた。






星の光が障壁に衝突し、眩しい閃光と共に大きな音が響く。セレフィナの魔法障壁は次第にひび割れ、彼女は力を入れて耐えようとする。「これほどの力を使うとは、さすがロナルド…でも、私も負けてはいられない!」セレフィナは一瞬の隙を突いて、氷の魔法を集中させる。




「フロストブレード!」彼女は氷の刃を作り出し、落ちてくる星の光を打ち消すように攻撃を繰り出す。閃光と氷の衝突音が響き渡り、周囲の空気が震える。セレフィナはロナルドの力に応じて、ある程度の力をもって応戦していた。






「お前のその力、受け止めさせてもらう!」セレフィナは高らかに叫び、戦いの熱がますます高まっていく。ロナルドもまた、心の中でセレフィナへの尊敬の念を抱きつつ、彼女の力に応えるため、全てを賭けた攻撃を続ける。






* * *






ロナルドは星の魔法を使った後、その魔力の特性を独自に解析し続けていた。彼は星々が持つ重力の影響や、光の反射を利用した新たな魔法の可能性に気づく。星の魔法の基本的なエネルギーを基に、重量を操る魔法、「グラビティ・コントロール」を編み出すことに成功したのだ。






「これが俺の新たな力…重力を自在に操れる力だ。」ロナルドは内心の興奮を抑えながら、周囲を見渡す。彼の瞳には、次なる一手への自信が宿っていた。彼は軽く手を振り上げ、魔法を発動させる。






その瞬間、周囲の空気が変わり、まるで重力が歪むかのような感覚が訪れた。ロナルドの意志によって、周囲の物体が持ち上げられ、星の光が彼の周囲で渦を巻く。ロナルドはその力を使い、セレフィナの方へ向かって、重力を一気に引き上げた。






「重力が増すなんて…!」セレフィナはその異変に気づき、身動きが取りづらくなる。彼女は一瞬、身体を支えるのに苦労し、目の前に迫るロナルドの姿を捉えた。「まさか、そんな力まで使えるのか?」セレフィナの驚きが混じる声が響く。






ロナルドはそのまま進み、近距離から「グラビティ・ボール!」と叫び、彼の手の中に集まった星のエネルギーが固まり、重力によって圧縮された球体を作り出す。それは見る者を圧倒するほどの迫力を持った魔法だった。




「これが俺の新たな力だ!」ロナルドはその球体をセレフィナに向かって放り投げる。空中で渦を巻きながら、光を放つその球体は、まるで流星のように真っ直ぐ飛び、セレフィナの方へ迫る。






セレフィナは瞬時に反応し、氷の魔法を展開しようとした。「アイス・ウォール!」しかし、ロナルドの「グラビティ・ボール」は圧倒的な重量を持ち、氷の壁に激しく衝突する。氷は次々と割れ、セレフィナはその衝撃に後ろに押しやられた。




「この重力…想像以上だ!」セレフィナは焦りながらも、冷静に次の行動を考える。彼女は自分の魔法の力を信じ、同時に反撃を試みる。「アイス・アロー!」氷の矢を複数放ち、ロナルドの攻撃を防ごうとする。






だが、ロナルドはその矢を見越して、「グラビティ・シールド!」と唱え、周囲の重力を利用して、氷の矢を無効化する。その瞬間、セレフィナは何とかロナルドの攻撃をかわそうと身を翻したが、重力の影響で動きが鈍くなってしまった。




「セレフィナ、まだまだ行くぞ!」ロナルドは再び攻撃を仕掛け、次々と星の魔法を駆使し、周囲の環境を利用して重力の影響を強化し、セレフィナを追い詰めていく。






「これは…もう少し力を解放しなきゃかもね。」セレフィナはその戦況を把握しながら、打開策を模索する。ロナルドの力は圧倒的で、まさに彼女の思考を上回るスピードで展開されていく。

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