クロノロード

クロノヨロイ

第1話 プロローグ


 


 ボクの名前はクロノ。自然に囲まれた辺境の村で、ボクは生まれました。

 父と母は冒険者を続ける為に、赤ん坊のボクを連れて行かなかった。

 その後は、村長に養子として引き取られて育ったよ。


 物心ついた5歳の時にボクの両親は、村長の夫婦だと思っていたけど、違ったみたい。

 自分の鏡を見て、似ていないと思ったボクは、育ててくれた父さんに聞いたら、初めて養子という事実を知ってしまったんだ。

 それでも実の子として、育ててくれたし、育ての両親には感謝している。


 そして、6歳になる前には、妹が生まれ、エリンという名前になった。

 育ての両親は、妹の世話でボクに構ってくれなくなったけど、村には同年代の友達もいて、寂しくなかったし、良い関係を築いていたよ。

 いつも遊ぶ友達は、リードとレインとスラかな。

 ボクを含む4人で、安全な地域の川に釣り遊びに行き、草むらを通って帰ってきたら、いつも通り泥だらけになってたね。

 その後は井戸の水で冷めたーとか叫んで水の掛け合いとかしてたよ。

 ボクは、男気ある女の子だったから、リードとレインとスラの3人は、ボクのシャツが透けて、顔真っ赤にしてたのは笑ったかな。


 6歳になった頃には、村の友達と狩猟のお勉強として、弓や剣を習ったけど、残念ながら素質は無かったのは、続けていれば分かったよ。

 素質が無くても、罠を用いて、ハンターさんのお手伝いをしたり、解体を学んだりした。

 最初に猪の血を見た時は、具合悪くなったけどね…ボクの同年代の友達も同じだった。

 苦い思い出だったけど、慣れたから今はそんな事はないけどね。


 あっという間に10歳に成長したボクは、妹と遊んであげたりしていたら、懐かれてしまい、寝る時はお姉ちゃんと一緒がいいと言って、育ての両親を困らせる事も多かったかな。


 そんな村での暮らしは、調査員の来訪した時に突然と終わりを告げたんだ。


 



 ボクの育ての父であり、村長であるカルヴィンさんと、妻のエドナさんはリビングを掃除していた。


「今日は、誰か来るの?」

「そうなんだよ。三十朝の前にな、手紙が届いて、教会関係の調査員が来訪するんだ。ちょうどその昼ってわけだ」


「母さん、ボクも何か手伝える事ある?」

「もうすぐ終わるから大丈夫よ。他の所も教えてるから、遊びに行っちゃだめよ?」

「はーい。エリンと一緒に裁縫して、帽子作りの続きでもしてるよ」


 ボクは、エリンの部屋に向かい、ドアを叩く。


「エリン!起きてるか?」

「うん!入っていいよ!」


 ボクはドアを開き、妹の部屋に入るとエリンの机には毛糸だらけだった。


「お、続きやってるな。ボクも手伝うけど帽子完成しそうか?」

「お父さんとお母さんの分は、お姉ちゃんが手伝ってくれたから、できそう!」


「喜んでくれるといいな」

「うん!」


 ボクは、エリンを撫でた後、毛糸でニット帽を編むのを手伝った。

 時間は経ったけど、昼になる前に二つ完成した。


「できたー!」

「なんとか、できたな!」


 ちょうど良いタイミングで、ボクとエリンを呼ぶ母さんの声が聞こえたので、リビングに向かった。


 リビングにエリンと歩いていくと、真っ白な教会服を着た30代ぐらい。

 丸眼鏡をかけた男性が、父さんと母さんと向かい合うように座っており、後ろには護衛の騎士が立っていた。

 

 座った男性は、ボクとエリンを見てきて、咄嗟にボクの後ろにエリンが隠れる。


「お邪魔してるよ。クロノ君とエリンちゃんだね」


「はい、そうです…あ、こんにちわ!エリンも挨拶しろ」

「…こんにちわ」


 ボクは、君呼びされたけど、気にしなかった。

 ボーイッシュだから仕方ないかと思いながら、ペコリと頭を少し下げた。

 反応してくれた調査員と思われる男性は、笑顔になった後に、椅子から立ち上がる。


「さて、村の者を広場に集めてくれないかね?鑑定の儀を片っ端からしていくからね。この村には世界を救う素質のある子供がいると、予言されていたのでね。早速だが頼むね村長」


「はい、お任せください!広場に村の者を集めます」


 父さんは俺に「エリンとクロノは最後に鑑定するから宜しくな」と言われ、ドアを開けて、調査員と騎士達は付いて行くように、出て行く。

 少し経つと、集会を開くための鐘が鳴り響いたのを聞いて、長袖と長ズボンに着替えて外出の準備をする。

 ボクとエリンと母さんと一緒に広場に向かった時には、集まっていた。


「今日は教会の調査員の方々が、子供たちの素質を調べる為に来訪された!将来有望の子にはスカウトしてくれるそうだ!皆、順々に調べていくから親と一緒に来て欲しい!」


 村長である父さんである声掛けにより、調査員による鑑定が順々に始まった。

 母さんとエリンも暇を潰すためにエリンの同年代のママ友たちの所に行ってしまったので、調査員の近くの木を背に寄りかかり、座って遠目で調査員を見ている。

 

 最初に調べに行った、猟人の父を持つリードは、弓術と付与スキルの素質を代々受け継いでいたので、騎士団にスカウトされている様子だった。

 父リヤンは、成長するまでは、此方で修業した方が性に合ってると、断りを入れていたが、リードは不満気だったが、12歳になったら訪ねるという要望を聞き入れる。

 嬉しかったのか、リードは親友のボクに声を掛けて来てくれる。

 ちなみにボクを女の子と認識しながらも、気にせず遊んでくれる狩り友だ。

 シャツと半ズボン姿だった。


「おう、クロノ!」

「やぁ、リード!どうだった?」

「オレは普通にスカウトされたぜ!けど、弟たち次第だな。クロノも良い鑑定結果が出るといいな!」

「そうだね。狩猟の素質あるリードが羨ましいよ」

「いやいや、クロノの罠の方がすげえよ!お陰でこっちは楽が出来てるんだ!自信持てよな。それじゃあ、後でな!」


 リードはボクの拳合わせをして、見送った。


 次にレインがボクの所にやって来る。

 レインの親は、水脈を探知するのが得意な家系で、村を興した祖母は井戸堀りで貢献する程に、水属性のスキルに長けている。

 

 村に来る前は、とある国の王城で家庭教師をしていたとか。

 ちなみにレインは、ボクが女の子だと認識してくれない。

 何故だろうね。服装が悪いのかな・・・長ズボン履いているからかな。

 スカートは苦手なので、普段は履いていないけどね。

 ワンピース姿のレインに挨拶した。


「こんにちわ!クロノ君!」

「こんにちわ、レイン!何か素質あった?」

「私は、水魔法のスキルだったわ!もちろんスカウトされたけど、でも悩んでいるわ」

「ふーん。レインのお祖母さんに水魔法系統のスキルを教えてもらった方がいいと思うけどね」

「なんで?」

「だって、魔法スキルを習得するならお金かかるし、連れてってもらってもレインのお祖母さんの方が詳しいでしょ」

「確かにそうよね。難しく考え過ぎたわね。ありがとうクロノ君!結果分かったら教えてね!」

「うん、分かったよ」


 最後に薬学が得意なスラが話しかけてきた。

 見た目は眼鏡をした、勉強できるタイプの男の子。

 普段の姿は、ローブを纏っており、ローブの下の服装はシャツと短パンだ。


 スラのお祖母さんは、行商人も驚くポーションを作っている。

 ボクやエリンが風邪を引いた時は、いつも診察してもらって、次の日には治るぐらいの万能薬を作れる凄腕でもあるんだ。

 ボクの祖父とリードの祖父、レインのお祖母さんとは旅仲間だったらしいけどね。

 薬草集めをボクとスラと一緒に手伝いをした時、懐かしそうに話してくれたよ。


「どうもです。クロノちゃん」

「スラ君じゃん。予想は付くけど」

「薬学スキルと付与スキルに関してになるけど、素質ありましたよ。スカウトされました」

「流石じゃん。スラのお祖母ちゃんこの村一の薬師だもんね」

「嬉しい限りです。けど、お祖母さんからまだ学び終わってないのでこの村に残りますよ」

「そうだよね。スラのお祖母ちゃんを手伝った方が学びが多そうだもん」

「クロノちゃんの結果、期待してますよ」

「うん、ありがとう!」

「結果が出たら、後で教えてくださいね!」

「はーい!」


 ボクの遊び友達の3人には素質あった。

 自分の事の様に嬉しく感じたけど、他の子供たちは、皆まずまずだったみたいだ。


 エリンとボクの番が近づいて来たので、エリンが呼びに来てくれた。


「お姉ちゃんの友達すごいね!」

「素質同士で引き合う者なのかもしれないね。お母さんの所に戻ろう!」


 ボクは、お母さんの所にエリンと一緒に手を繋いで戻るのだった。

 

 ボクの鑑定結果で、旅立つ事態になるとは知らずにね・・・







 この小説は、不定期更新になります。

 ご了承ください。 


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