カンフー少女の調査室〜探せ!幻のかつめし店

星咲 紗和(ほしざき さわ)

プロローグ

加古川の街には、奇妙な噂が流れている。


その店のかつめしは、ただの料理ではないらしい。口にすれば、忘れられないほどの「至高の味覚」に包まれるとか、あるいは「別の世界」へ誘われる感覚を覚えるとか──。だが、誰もその場所を知らない。聞く人によって場所も、出される料理の内容も異なるが、ただひとつ、噂に共通するのは「その店に行った者は、何かを失う」ということだけ。


そんな奇妙な都市伝説を耳にしたのは、主人公である若きカンフー達人、凛(りん)だった。加古川で育った彼女にとって、この街には隠された秘密が数多く眠っていることを知っていたが、幻のかつめし店の話は格別だった。その噂を聞いてから、彼女の好奇心は静かに、しかし確実に膨らんでいった。


ある日、凛は不思議な猫に出会う。その猫は人間の言葉を話し、彼女にこう告げる。


「幻のかつめし店を見つけたいなら、まずは自分を信じることだ」


猫の言葉に導かれ、凛は加古川の街へと繰り出していく。調査室と名付けた彼女の秘密基地で、ひとり探索の計画を立てながら、凛はまだ見ぬ「幻のかつめし店」と自らを結びつける謎の糸を探し求める。


その先には、彼女も予想だにしなかった陰謀と、数々の試練が待ち受けていた…。

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