第16話 初めてのシャワー体験


「これを使ってこのように丁寧に体をこすって、体についた汚れを落としてください」


 そういってから二人にもスポンジを渡す。

 ミーシャはまだましのだが、姫ともう一人のスポンジはすぐに泡立たなくなる。

 汚れが相当ひどいのだろう。

 俺はスポンジを預かり、素早くスポンジを洗ってからもう一度ボディーソープをたっぷりつけ泡立てる。

「汚れが酷い時にはすぐに泡が無くなりますので、今の要領で泡が無くなったら一度スポンジを洗ってこの液をスポンジにたっぷりとしみこませて、このように泡立てます」


「スポンジって?」


 ミーシャが俺に聞いてきた。


「これのことです。

 ついでに、今使っているこの液はボディーソープと言いまして、体を洗う石鹸の液です」


「石鹸ですって」


 従者とミーシャの二人が同じようの驚いた。

 え?

 液体石鹸で驚いた訳でもなさそうなのだが、ひょっとして石鹸という言葉に驚いたとか。

 これは本当に認識のギャップがすごそうだ。

 だが今は時間が惜しいので、とにかく体を洗うことを優先してもらう。

 体の汚れがこれ程なのだから、頭は、髪の洗浄には相当苦労しそうだ。


 ミーシャが一番先に体が洗い終わったので、今度は頭髪だ。

 ミーシャの髪を俺はシャワーヘッドを使ってもう一度丹念にお湯をかけてからシャンプーを使い髪を洗うが、予想通りすぐに泡が無くなる。

 泡が無くなると一旦シャワーでシャンプーを洗い流してから、同じことをもう一度行い、十分に泡が立つまで繰り返す。

 3回ほど繰り返してどうにか洗い終わったようだ。

 ミーシャが終わると姫も体が洗い終わったので、同じように姫の髪を洗う。


 ミーシャは昨日十分に頭からお湯をかけていたので、姫や従者よりはきれいだったのか、シャンプーの回数にして2回は姫よりも少なく済んでいた。

 一番最後まで掛かったのは従者だった。

 これは日ごろ、捕まる前の日常生活でどれだけきれいにしていたかが関係していそうだ。

 姫様は、いいところの出のようで常にきれいにしていたのだろう。

 従者に比べれば回数少なく髪までも洗い終わる。


 姫の体を洗っている最中にミーシャの方は終わったようだ。

 体も十分に温まったようで、俺の声をかけてきた。


「守様。

 私は終わりましたが、いかがしましょうか」


「ミーシャ、シャワーが終わったのならばバスタオルを渡すので体をきれいに拭いておいてくれ。服は別なのを用意するから、ちょっと待ってくれ」


「あの~私がドーラの面倒を見ましょうか」


「そうしてもらえると助かるが、わかるかな」


「やってみます。

 これを洗ってこの液を使うのですよね」


「あ。いや違う。

 これは髪を洗う専用の石鹸でシャンプーというやつだ。

 体を洗うにはこっちのボディーソープを使ってくれ。

 使えなくはないが、効果が違うからな」


「すみませんでした、わかりました。

 こちらを使います」


 姫も洗い終わり、先に姫様の方を片付けることにした。


「姫様。

 洗い終わったようですね。体は十分に温まりましたか」


「ええ、十分にシャワーというのを堪能させていただきました」


「でしたらこちらに」


 俺はそう言ってからシャワーのコックをひねりお湯を止めた。

 三人ともそれを見て驚いていたが何も言ってこない。

 俺は姫を連れてシャワー室を出て、更衣室で、置いてあるバスタオルを使い姫の体をふいていく。


「この布で、十分に体に着いた水滴を拭いてください。

 その間に代わりの服を用意します」


「わかりました、大魔導士様」


 どうも、俺の通称が大魔導士通称で決まりそうだ。

 どこかで訂正しておかないとまずそうだな。


 俺はシャワー室の隣にある更衣室から出て、副長の部屋に向かう。

 体形的に船長ではちょっとと思えたので、背丈の似ている副長の部屋に入り副長の服を借りる。

 礼装に使えるスカートタイプの制服が目についたので、適当に下着とブラウスにその制服の上下をもって更衣室に戻る。


「すみません、姫様。

 着ていた服が濡れていたのと、汚れもありますので、この服を着てもらえますか。

 一応新品になりますので、失礼にはならないかと考えます」


「大魔導士様。

 私に気を使わなくとも結構です。

 私は亡国の者で、大魔導士様に助けられたのですから。

 それにこのような上等な服をお貸しくださり、感謝します……あの~、これはどのように使いますので」


 姫はブラジャーを手に取って困っている。

 ショーツの方はその形からすぐに分かったのか履いているので、ショーツのみの格好でブラを手に取り困った顔をしている。

 先ほどはかなり垢まみれだったのでおかずにはなりそうになかったのだが、十分にきれいになれば話は別だ。

 それに今の格好ってそそるものがある。

 危うくおっ立てそうになるが、そこは素数を数えて事なきを得る。

 その上で、ブラを手に取り、姫の後ろに回り姫にブラを付けてやる。

 これが逆でブラを外す場面ならばもう爆発しそうだが、ことが終わった後だと思えば賢者に……なるか~~って、俺の中で溜まっているものが暴れだしそうだ。

 できるだけ早く出しておかないとまずいことになりそうだ。


 どうにか姫のブラ付けも終わり、そのまま制服を着せるのも手伝った。

 その後、まだシャワーを浴びている二人の替えの服も用意するため、この場に姫を待たせて一番近くにある兵士の部屋に飛び込む。

 訓練などで使うジャージならばどこにでもある。

 誰のでもいいので、下着とジャージを持って更衣室に戻る。

 ちょうどミーシャがもう一人の従者の世話を終えて二人でシャワー室から出てきた。


 俺は二人にバスタオルを渡し、体を拭いてやる。

 子供の世話をしている気分になりそうになるが、二人を見るとまだ幼さが残るが十分に大人だ。

 いや、大人になりかけているが、十分に魅力的なので、今度は宗教哲学の授業を思い出す。

 これは本当にどうにかしないとまずいな。

 姫もそうだが、妖艶な魅力とはいかないが、若さ溢れる女性の魅力がいっぱいだ。

 失敗したのかもしれない。

 垢まみれの汚いままにしておけばよかったかもしれないと、俺は後悔を始めている。

 姫と同じようにブラだけはつけるのを手伝うが、ジャージなので、それもミーシャは先ほどまで着ていたのと同じものなので、一人で着ることができている。

 三人の準備が整うと、俺は一度三人を連れて甲板に戻り、甲板上で待機している人の前に出た。



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