第21話 ギルマスとの面会2
ルーシーとの話し合いが終わり、俺たちはギルマスとの面会に向かっていた。
「今日はギルドの周りに人が多いな。」
「大和さんとルーシーちゃんが目当てなんじゃないですかね。カメラを持っている人もいましたよ。こんなにリアルなエルフは見たことありませんし。大和さんの耳、すべすべして気持ちいです~。」
「お、おい!やめろ!なんか変な感じがする。」
「いいじゃないですか~。減るもんじゃないんですし。」
カエデが大和の耳を触っていると、周辺がザワザワし始めた。
『そこでやめておきなさい、カエデ。エルフは耳を触られると力が抜けてしまうの。』
「はーい。止めておきます。っと、ルーシーちゃんの耳に触ってから止めますね~!」
『ぎゃー!やめなさいって言ってるでしょ~! あ、あぅ…。』
ルーシーは、止めろと言っておきながらくすぐったそうにしていたが、カエデの触り方が上手くなってきたのか、途中からはされるがままになっていた。
ザワザワ…
さらに、辺りが騒がしくなってきた。
しかし、カエデちゃんも俺達に慣れてきたのか、スキンシップが多くなってきたな。俺、これでも元男なんだけど…。
「おーい、2人とも。そろそろギルドに入るぞ!」
「はーい!」『分かったわ…。』
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現在俺たちは、ギルドマスターの部屋で、俺達3人とギルマスのみで話をしていた。
「今日は、君たちに報告と依頼したいことがあって呼び出させてもらった。」
面会が始まってすぐに、ギルド長がそう切り出した。
「まずは報告の方だが、大和とルーシーの嬢ちゃんに関してはカエデの嬢ちゃんが言った通りに、ダンジョンのトラップが原因でエルフになってしまったという事で発表しようと思う。それと、スキル【はいしん】に関しては調べたところ、他に同じスキルを持っている探索者は見つからなかった。特殊スキルを2つ持っている人間も見つかっていない。」
「なるほど。という事は、今のところ【はいしん】は大和さんとルーシーちゃんだけしか持っていないという事ですね。」
「そういうことになる。新しいスキルに関しては、ギルドの方からHPに情報を載せさせてほしい。獲得方法に関しては、トラップによる事故という事で発表するつもりだ。それで大丈夫か?カエデの嬢ちゃん?」
「私は、それで大丈夫だと思います。大和さんとルーシーちゃんはどうですか?」
「私はそれで構わない。」『私も。』
「あれ。ルーシーの嬢ちゃんは話せるようになったのか?」
「ああ、これも【はいしん】の能力の1つ翻訳だ。」
そう、ギルマスの疑問に対して大和が答えた。
「なるほど。興味深い能力だな。」
「そうなんです。そういえば、私たちに依頼があるって最初に行ってましたよね。どんな内容なんですか?」
「そうだったな。依頼に関してだが、結論から言うとDチューブのギルド公式アカウントから、生配信をしてほしいんだ。」
「生配信ですか?いったいどうして?」
カエデが疑問を呈すると、ギルマスは答えた。
「実は、大和とルーシーの嬢ちゃんに関する問い合わせが大量に来ていてな。まあ、それだけが理由という訳じゃないが、ギルド公式チャンネルから本人に配信してもらうことで、HPからの発表に説得力を持たせたくてな。どうしても、ギルドからの文章での発表だけでは信じてもらえないと考えていてな。もちろん、報酬は出すし、君たちのチャンネルを宣伝してもらっても構わない。」
「証明に役立つのであれば、私は構わないが…。ちなみにチャンネルの宣伝というのは何だ?」
「大和さん。Dチューブでは、視聴回数などによってお金を稼ぐことが出来るんです。そのために大和さんのチャンネルを宣伝して、視聴者を増やせば探索や武器・防具強化に必要な資金を確保できるんです。」
「そんなことが出来るのか!? それなら、その依頼を受けよう。お金はあって困ることは無いからな。」
Dチューブに関する説明を聞いた大和だけでなく、ルーシーも驚いている様子だった。
「それでは、生配信の準備が出来次第、またギルドに来てほしい。 明日には連絡できると思う。」
「分かりました。それでは、連絡は大和さんとルーシーちゃんのマネージャーである私に送ってください。」
「マ、マネージャー?」
大和が不思議そうに言うと、
「そうです。これからは、どんどん視聴者が増えてくると思うので、チャンネルの管理などが必要になると思うんです。それに、私達これから3人でパーティーを組むじゃないですか。だから一緒にいることが多いと思うんです。」
「なるほど。マネージャーとは大げさすぎる気もするが、そこは詳しいカエデに任せよう。」
「よし、分かった。連絡はカエデの嬢ちゃんに送らせてもらう。それにしても、期待の新人ソロ探索者がついにパーティーを組むのか…。パーティー登録は、受付カウンターの方でやってくれ。ちなみにパーティー名はもう決まっているのか?」
「あっ、まだ考えていませんでした。」
「そうか。まあ、名前が決まっていなくてもパーティー登録は可能だから、よく考えておいてくれ。」
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