第8話 翼獅子 はじめての共闘
ルーシーの初戦闘後、数匹のモンスターをルーシー1人で倒すことに成功していた。
そして、地上を目指すために、次の遺跡エリアへと足を踏み込もうとしていた2人であった。
「よし、ここからは次のエリアに入るぞ。こーんな感じのボスが出てくるかもしれないからな!この絵をしっかり覚えておくんだぞ!」
「ここが翼で、体はこういう風に、頭に角が生えたライオンのような見た目をしている!」
大和は、自信たっぷりに自分の絵を見せているが、ルーシーの反応は・・・。
「ーーーーーーーーーーー?」
かわいらしく、首をかしげて、よくわからないといった感じだった。
大和が自信満々にボスの絵を地面に描いていたが、そこにはこの世の生物とは思えない生き物が描かれていた。
つまり、大和はいわゆる「画伯」と呼ばれるような、絵の才能が全くない人種だったのである。
「うーん。こう、こうだ! ガオー! パタパタパタ!」
「ーーーーーーーーー!」
次は、ライオンの物まねをしながらジェスチャーで伝えると、ルーシーは「なるほど!」といった感じで、うなずいた。
「お! 分かってくれたか! ・・・でも、絵の方が分かりやすいと思うんだけどな・・・。」
そう言って、大和は不思議そうに自分の絵を眺めた。
「よし、作戦会議終了! エリアボスとの戦闘に備えよ!」
「ーーーーーーーー!」
そうして、2人は次のエリアに歩を進めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「グルルルル!」
遺跡エリアに侵入してからしばらくすると、そこには翼獅子が2人を見下ろすようにして警戒していた。
「出たな、羽つきライオン!」
「ーーーーーーーーー!?」
大和は、臨戦態勢に入り、ルーシーは想像していたモンスターと違ったのか、かなり驚いた様子だったが、すぐに冷静になった。
「よし、作戦通りルーシーは隠れながら、隙を見て攻撃してくれ! じゃあ、行ってくる!」
こちらを伺っている翼獅子に対して、大和は駆け出した。
(まだ飛んでいない。今のうちだ!)
先手必勝とばかりに、どんどんスピードを上げていき、翼獅子の噛みつき攻撃を避け翼を切りつけたが、切り飛ばすまでには至らなかった。
バサッ
「やっぱり飛び始めたか。」
翼獅子は、近接戦は不利だと考えたのか、空からの魔法攻撃に切り替え、風を纏ってガードしている。
そして、空中からこちらに向けて、風魔法を打とうとしていた。
「逃げても無駄だ!」
そう言うと、大和はスキル【マッサージ】を発動した。
特殊スキルは、練度によりいくつかの能力が解放されるという事が知られている。
そして、長年ダンジョンを探索している大和も例に漏れず、複数の能力を開放しており、そのうちの1つが、魔力の腕や足を具現化する「マッサージハンド(魔力の手)」であった。
ちなみに、大和は「マッサージハンド」という名前が恥ずかしいので、「マジックアーム」と呼んでいる。
「捕まえた!」
ドスン!
「マジックハンド」で、翼獅子の翼を掴み、地面にたたきつけた。
「グルアアアア!」
「いくぞ!」
戸惑っている翼獅子の隙をつき、片方の翼を切り飛ばし、爪での反撃を避けるために、すぐに距離をとった。
「いまだ!ルーシー!」
「-------!」
合図を聞いたルーシーは、特大のファイヤーボールを撃ち込んだ。
「グルアアアア!」
体を包む炎を打ち消そうと、のたうち回る翼獅子の隙をみて、大和は何度か切りつけた。
翼獅子の動きが鈍くなったところで、【マッサージ】による「弱点可視化」で、最適なルートから刀を振りぬき、首を切り落とした。
「ふう、こんなもんだな。 ルーシー!倒したぞー!」
「ーーーーーーーー!」
二人は、はじめて一緒にボスを倒せたことに喜び、大和がルーシーを抱っこしながらくるくる回っていた。
いつもなら、恥ずかしがっているルーシーも、この時ばかりは喜びが勝っているようだった。
そして、2人はドロップしたアイテムの確認に行く。
「あれ、指輪型のアイテムか? 鑑定眼鏡はどこかなーっと。」
クイッ
鑑定眼鏡をアイテムボックスから取り出し、ドロップ品を確認する。
「おっ、身代わりの指輪か。そういえば、俺も1つつけてるんだった。これは、ルーシーがもってお言ってくれ。」
そう言いながら、大和はルーシーの指に指輪をつけてあげた。
「ーーーーーーーーーー!」
ルーシーは、何故かとても恥ずかしそうにしていたが、 自分の指にはめられた指輪をみて嬉しそうにしていた。
「よーし、今日はライオン肉だ!料理の準備をするぞ!」
「ーーーーーーーーーー!」
その後、食事を終えた2人は地上を目指してさらに進んでいくのであった。
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