第7話 ルーシーの実力



 レッドスコーピオンを食べ終えた2人は、エリアボスを倒しながら村エリアを超え、50階層が存在する、遺跡エリアに到達しようとしていた。

 

 ここは、ダンジョン協会所属の探索者達にとって、最高到達階層だと考えていられる階層であり、まだ突破できていないエリアでもあった。



 「それにしても、早く新しい服が欲しいな。ルーシーの服も買ってあげないと。」


 そう言いながら、ぶかぶかの服で、歩きにくそうにしているルーシーの頭をなでた。



 「ーーーーーーーーーーーヤマト!」


 頭をなでられたことが恥ずかしいのか、抗議するように何かを叫んでいる。


 (そういえば、水晶に閉じ込められていた時は、エルフのお姉さんだったっけ。今はこんなに小さくなってるから、つい忘れて撫でてしまうんだよな。)


 大和が撫でるのをやめると、ルーシーは魔法の練習を始めた。



 「おっ、次は火属性の魔法か。やっぱりエルフだから魔法が得意なんだな。」


 先ほどまでは、水の魔法の練習をしていたルーシー。



 集中しているルーシーの眼前には、2つの手のひらサイズのファイヤーボールが手のひらを中心にして回っていた。


 そして、3つ目のファイヤーボールが出現した。


 しかし、他2つのファイヤーボールと比べると、小さいように見える。



 「ーーーーーーーーーーーーー!」


 ルーシーはさらに魔力を込めているようだ。だんだんとサイズが大きくなって、3つとも同じ大きさのファイヤーボールになった。



 「おお!うまく言ったじゃないか、えらい、えらい!」



 「次にモンスターが出てきたら、ルーシーにも手伝ってもらおうかな。」


(もうすぐ、次のエリアボスが出てくるかもしれないから、エリアが変わる前にこの階層でルーシーの実力を見せてもらおう。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 しばらくすると、前方に人間と同じくらいの大きさの、カマキリ型のモンスターをが現れた。



 「よし、俺がファイヤーボールで、けん制するからルーシーもやってみてくれ。」


 そうジェスチャーを交えて伝えると、大和は今までのように刀で攻撃するのではなく、手のひらサイズのファイヤーボールで攻撃する。



 「---------!」


 すると、ルーシーは大和の意図を理解したのか、ファイヤーボールを発動した。



 「!?」


 しかし、その大きさは、大和の想像をはるかに超えていた。



 「これは、俺よりもデカいんじゃないか? やっぱりエルフは魔法が得意なんだな・・・。」


 そして、モンスターは大きすぎるファイヤーボールから逃げ切ることが出来ず、一撃で戦闘不能になった。



 「よくやったな! ルーシー! 近接アタッカーの俺と一緒なら、いい組み合わせになるんじゃないか!」


 そう言いながら、大和はルーシーの頭を撫でると、嬉しそうに微笑んでいた。



 「よーし!このエリアで、あと数匹倒してから、次のエリアに行くぞ!」


 たしか、次のエリアの主は、翼の生えたライオンだったかな?などと考えながら、次のモンスターを探しに行くのであった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る