第3話 エルフの少女
声が聞こえる方向に歩き出して、しばらくした頃だった。
前方に、3メートルほどの高さの水晶のようなものが見えた。
そして、声は水晶の方から聞こえていることに気づいた。
「————————。」
(声の発生源は、あそこだな。)
周辺に警戒しながら近づいていくと、水晶の中には、長い金髪のとても美しい女性が閉じ込められていることに気が付いた。
「————————!」
再び、目の前の水晶から声が聞こえたことで、確信した。
「この人が、声の主なのだろうか。」
声から想像していたよりも、大人っぽい見た目だ。
よく観察すると、普通の人間ではないことに気が付いた。
「女性にしては、身長が高い方だな。」
自分の身長とほぼ変わらない、175㎝ほどあるように見えた。
「それに・・・耳が長い! 物語に出てくるエルフってやつか!?」
ダンジョンに長年潜り続けていたが、ファンタジー系の人種を見たのは初めてだった。
新たな発見に興奮を隠せずに、水晶を眺めてしばらく経過したころ、体全体に気怠さを感じた。
「うっ!?」
一瞬。
まるで、全身を焼かれるような痛みを感じた。
そして、似たような痛みには経験があった。
(さっきの尻尾に噛まれたときに毒をもらってしまったか。)
痛みの原因に思い当たり、キュアポーションを取り出そうとした。
体を水晶に預けながらアイテムボックスの中を意識がボ~っとしながらも探していた。
すると、突然何かが光りだした。
ピカッ!
その瞬間水晶と、先ほど手に入れた天秤のようなアイテムが輝きを放ち始めた。
「何が起こっているんだ!?」
このアイテムの効果なのだろうか。
鑑定をしておけばよかったと思うが、もう遅かった。
そして、自分の体も光に包まれていることに気づいた瞬間、意識を手放してしまった。
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「うーん・・・。」
どれだけ時間が経っただろうか。
俺は目を覚ました。
しかし、何か違和感がある。
そういえば、毒の痛みが消えている気もするが、それだけじゃないような…。
「あれ? そういえば、水晶が光りだして、どうなったんだっけ?」
「あれ!? 声が高くなっている!?」
自分の声が変わっていることに気が付き、驚いていると、体にも違和感を感じた。
(胸のあたりががきついな・・・)
「肌の色が変わって・・・る? それに、胸が・・・ある?」
(かなり、大きいな・・・って!? もしかして、女になってる!?)
急いで、刀の側面を鏡に見立てて、自分の容姿を確認すると、そこには銀髪で金色の瞳で、耳の長い女性が映りこんでいたいた。
もともと身長が175㎝だった大和と、あまり変わらない身長に、クールな雰囲気のダークエルフのような女性に生まれ変わっていた。
服に関しては、身長に変化がなかったおかげで、そのまま着用できそうだが、胸のあたりがきつく、違和感を感じていた。
「どうしてこうなった!?」
そう考えこんでいると、先ほど発見した水晶が割れていることに気が付いた。
「あれ? さっきのエルフは?」
と、つぶやいていると水晶の根元に小さい金髪の少女が倒れた居ることに気が付いた。
「ん? この女の子・・・さっきのエルフに似ているような・・・でも、かなり小さくなってる…?」
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